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2023 Fiscal Year Annual Research Report

ヘレニズム辺境のギリシア思想の東漸とインド思想からの還流、相互応酬の統合的復元

Research Project

Project/Area Number 21K00004
Research InstitutionTokyo Metropolitan University

Principal Investigator

金澤 修  東京都立大学, 人文科学研究科, 客員研究員 (60524296)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小島 和男  学習院大学, 文学部, 教授 (80383545)
宮崎 文典  埼玉大学, 教育学部, 准教授 (50506144)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsアショーカ王碑文 / バクトリア / ガンダーラ / アラム語 / アイ・ハヌム / アクラシア / クレアルコス / アリストテレス
Outline of Annual Research Achievements

本研究の成果は以下の通りである。
(1) ヘレニズム時代のギリシア哲学は、アレクサンドロスの東征以降、東方へと伝播したというのみならず、さらにギリシア文化にとって異文化であるインド思想の把握、あるいは仏教思想の伝達に一定の役割を果たしていた。このことを「アショーカ王碑文・ギリシア語・アラム語バイリンガル碑文」、および「アショーカ王碑文・カンダハル出土ギリシア語碑文」の読解によって提示した。さらに「バイリンガル碑文」に見られるアショーカ王のエピテットの音写の違いに着目し、アラム語はそれが建立された現地の音韻を反映しているのに対し、ギリシア語は東北インドの音韻を反映していることを指摘した。
(2) 上述の「バイリンガル碑文」において、アリストテレス『ニコマコス倫理学』第7巻での主要なテーマである「アクラシア」なる術語と、ピュタゴラス派において生類の食用禁忌を意味する術語が使用されていることを指摘した。前者は中期インドアーリヤ語で刻まれた「アショーカ王碑文」にはない表現である。これはギリシア語翻訳者(たち)が自らのギリシア哲学の知見をもとに独自の翻訳を行ったことを示している。それに対し「カンダハル出土ギリシア語碑文」では原典となった法勅を直訳している。この指摘によって、翻訳態度を違える二つのギリシア語翻訳の伝統が、バクトリア・ガンダーラ地方に存在したことを明らかにした。
(3)上記の研究を補強する目的で、当該地域へのギリシア哲学・倫理学の流入経路が検討された。その証拠の一つは、近隣の「アイ・ハヌム遺跡」に残された「クレアルコス」なる人物に求められる。この人物は、東方への知見を示す著作断片を残したアリストテレスの弟子であることが示された。その結果、彼をはじめとしたペリパトス派がギリシア倫理思想の当該地域への流入経路である可能性を示すことができた。

  • Research Products

    (7 results)

All 2024 2023 Other

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ギリシア哲学史のマージナル ―インド思想との接触事例の考察―2024

    • Author(s)
      金澤 修
    • Journal Title

      『ギリシャ哲学セミナー論集』

      Volume: 31-45 Pages: 31-45

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 人はいずれ死ぬのに、なぜ生きなければならないのか?2024

    • Author(s)
      小島 和男
    • Journal Title

      『現代思想』

      Volume: 52-1 Pages: 29-37

  • [Journal Article] 「現れとしての知恵と共同探求としての対話――『ヒッピアス(大)』におけるヒッピアスとソクラテス」2024

    • Author(s)
      宮崎 文典
    • Journal Title

      『埼玉大学紀要 教育学部』

      Volume: 73(1) Pages: 207-220

  • [Journal Article] 神意の顕示としての生 ―カルウェヌス・タウルスのプラトン解釈をめぐって―2023

    • Author(s)
      金澤 修
    • Journal Title

      専修大学学会編『専修人文論集』

      Volume: 114 Pages: 17-44

  • [Presentation] リシア哲学史のマージナル インド思想との接触事例の考察」2023

    • Author(s)
      金澤 修
    • Organizer
      ギリシア哲学セミナー
  • [Presentation] 「石仏以前の石造物 ―アショーカ王碑文ギリシア語バージョン建立由来―」2023

    • Author(s)
      金澤 修
    • Organizer
      日本石仏協会
  • [Remarks] 『ギリシャ哲学セミナー論集』

    • URL

      http://greek-philosophy.org/ja/files/2024/04/03%E8%AB%96%E9%9B%86-2024-%E9%87%91%E6%BE%A4%E5%85%88%E7%94%9F%EF%BC%88%E6%9C%80%E7%B5%82%E7%A8%BF%EF%BC%890331%E4%BF%AE%E6%AD%A3.pdf

URL: 

Published: 2024-12-25  

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