2022 Fiscal Year Research-status Report
応用倫理学における分析ツールとしての思考実験と倫理的意思決定法の研究
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21K00005
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
眞嶋 俊造 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (50447059)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 応用倫理学 / 思考実験 / 倫理的意思決定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、応用倫理学における分析ツールとしての実例ないし仮想事例を用いた思考実験を通して、倫理的意思決定法の開発・精緻化・汎用性の向上にある。 当該年度における研究の進捗はやや遅れていると判断できる。その理由として、研究計画段階では予測が困難であった新型コロナウイルスが各方面に影響を及ぼしたことが挙げられる。特に、研究補助を十分に任すことができる人材が見つからず、実例や仮想事例の類型化を進めることが想定より遅れていることが大きな懸念の一つであり続けている。 しかし、昨年度に引き続き、本務校ならびに非常勤先での授業、科学技術振興機構が主催する研究倫理教材の活用法に係るワークショップ、事務職員向けの職業倫理研修において思考実験と倫理的意思決定法を施行し、履修者並びに受講者フィードバックを受け、それを踏まえて更なる効果と効率、運用性を向上させるための改善を行うことができた。具体的にはは、事例数こそは少ないものの、実例や仮想事例の中にある倫理問題の類型化を進めることができた。類型化を進め、それを倫理的意思決定モデルによって分析することを通して、倫理的意思決定法のさらなる汎用性と耐久性が高まるよう改善を行うことができた。倫理的意思決定法を運用するにあたっての段階ごとの手順を、ドラマのシナリオを書くことととの類推として利用者に説明したことは特筆に値する。この類推を用いることによって、倫理的意思決定法の利用者のより深い理解を可能にすることができた。 また、あくまでも副次的ではあるが、科学技術振興機構の研究倫理映像制作委員会の委員の業務を通して、本年度においても本研究における思考実験のあり方を反省的に検討する機会を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全般的に、本年度においても新型コロナウイルス流行による各方面への負の影響があったことは否めない。 まず、本年度前半においては出張等の物理的移動や研究者と対面で会うことに制限があり、国内外の研究者との密な研究交流を深めることが困難であった。 また、研究支援者を雇用し研究の補助的作業を依頼する予定であったが、広く告知したが適任者を見つけることができなかった。本補助作業は事例を海外の事例を集めて整理するという内容のため、作業遂行に必要な英語のレベルを有する者を必要とすることにより、対象者が絞られることが主要な要因と推測される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後においては、まず早急に研究補助者を確保することを目指す。適任の研究補助者の協力を得ることができれば、倫理問題が生じた実例や仮想事例の数を飛躍的に増やせることが見込まれ、より類型化を精緻かつ堅固なものとして発展させることを目指す。 また、引き続き、本務校ならびに非常勤先での授業や事務職員向けの職業倫理研修において思考実験と倫理的意思決定法を施行する。それらの効果や運用性を検証するために受講者よりフィードバックを受け、それを踏まえて更なる効果と効率、運用性を向上させるための改善を行う。 加えて、科学技術振興機構の研究倫理映像制作委員会の委員の業務を通して、倫理的意思決定法が倫理問題を明確に照らし出し問題解決の道しるべをしめるような仮想事例の開発と精緻化を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度における研究の進捗状況で言及したように、研究補助者の雇用については、候補者が見つからなかったことにある。また、その取り置き分を当該年度末に開催された実践・専門職倫理学会第32回年次大会の参加を検討したが、当時の新型コロナウイルスの状況と海外出張を禁止する所属機関の方針に変更がなかったため、参加を断念したことにある。
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