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2022 Fiscal Year Research-status Report

Research on aesthetics, theory of time and space in Brentano School, aimed at contribution to the phenomenology

Research Project

Project/Area Number 21K00017
Research InstitutionTokai University

Principal Investigator

村田 憲郎  東海大学, 文学部, 教授 (80514976)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords現象学 / ブレンターノ / 時間 / 空間 / フッサール / ゲシュタルト心理学
Outline of Annual Research Achievements

2023年度は課題を二分し、おおよそ上半期と下半期とで異なる研究課題にとりくんだ。
上半期では、当該テーマでの集中講義の準備もあり、フッサールの時間論の変遷の全体を再検討しながら、それとブレンターノ学派との関係を明らかにする課題にとりくんだ。初期時間論における諸問題、ブレンターノ批判、現象学的・内在的時間と客観的時間との関係、後者の遮断の意味、統握-内容図式の採用とその批判、意識流の発見、再想起・把持・予持における二重の客観化などといったトピックについて、初期時間論をなす講義および研究草稿から理解しなおし、さらには中期・後期の時間論と関連づけた。その結果、難解で体系的性格を欠いていると思われているフッサールの時間意識について、一定の体系性のイメージを持つことができた。その成果の一端は、講演「ブレンターノとフッサールの関係について」「体験の絶対性について」および論文集『あらわれを哲学する』に寄稿した論文「体験の一回性について」において示した。
また、とりわけブレンターノ学派の空間・時間論、感性論と初期フッサールとの関係について、焦点になりそうな点をいくつか見出したので、その点と関連しそうな初期マイノングやトワルドフスキの論文を検討した。具体的には、マイノングの著作『ヒューム研究II』や「複合体と関係の心理学のために」「心的分析の理論について」「高階の対象について」などの論文を通じて初期マイノングの発展を見ながら、エーレンフェルスの「ゲシュタルト質について」やトワルドフスキの「表象の内容と対象について」など関連する諸論文を検証した。この確認作業の結果、当初見込んでいたほどにはフッサールとの強い類似性は見られなかったが、それだけにフッサールの独自性が認識された。こうした研究の成果は研究ノート「マイノング哲学の発展とエーレンフェルス」にまとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

「やや遅れている」としたのは、依然として本研究の中心的なイシューであるシュトゥンプフの空間論の解明が進んでいないからである。ブレンターノ学派のその他の諸議論の研究やフッサールの再検討と合わせて、シュトゥンプフの空間論の読解はコンスタントに進める予定であったが、その他の研究や校務などにエフォートを割かれ、あまり進めることができなかった。
その他の課題、初期マイノングの発展やエーレンフェルス、トワルドフスキとの関係などについては、初期フッサールとの関係で該当する時期の主要テキストはおおよそ検討し終えたと言える。今後はこれらの関連性のより一層の明確化に努めたい。
なお補足しておくと、メルロ=ポンティのゲシュタルト心理学需要について一定の洞察を得ることも本研究の課題の一つであるが、これに関しては『行動の構造』における自由の「象徴的形態」の議論の背景にある、ケーラーのチンパンジーの実験について検討し、人間に特有な一人称的視点と三人称的視点とのあいだのゲシュタルトの「移調可能性」について理解を深めることができた。この成果は日本心理学会での公募シンポジウム「ナラティヴ・セルフをどう研究するか」での提題において発表した。

Strategy for Future Research Activity

本年度の研究により、ブレンターノ学派の哲学者たちと初期フッサールの関係について、どこに焦点があるか、大まかな見当をつけることができたので、最終年度となる2023年度はその点を明らかにすることを目指したい。
またシュトゥンプフ研究についても、最終年度中になんとか形になるよう読解を進めたい。
最終的には、前の基盤Cの研究課題(18K0048)の諸成果と合わせて、単著にまとめることが目標である。

Causes of Carryover

本年度も依然として、コロナ禍により国外出張その他の研究活動の可能性が不明であったため、できるだけ節約する方針をとった。下半期から終盤にかけてはコロナ禍も落ち着く傾向にあったが、その他の業務等による多忙のため出張などが計画できなかった。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022 Other

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ブレンターノ1884/5年講義 --「基礎論理学とそこに必要な刷新」について--2023

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      フッサール研究

      Volume: 20 Pages: 18-43

    • Open Access
  • [Journal Article] マイノング哲学の発展とエーレンフェルス--「円い四角」をめぐって--2023

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Journal Title

      東海大学紀要 文学部

      Volume: 113 Pages: 11-28

  • [Presentation] ブレンターノとフッサールの関係について 誤解されがちないくつかの点2022

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Organizer
      東京唯物論研究会
    • Invited
  • [Presentation] 体験の絶対性について 『イデーンI』第二篇第二章から2022

    • Author(s)
      村田憲郎
    • Organizer
      東北大学哲学倫理学合同研究室研究会
    • Invited
  • [Presentation] ナラティヴ・セルフをどう研究するか2022

    • Author(s)
      田中彰吾, 嶋田総太郎, 村田憲郎, 宮崎美智子
    • Organizer
      日本心理学会
  • [Book] あらわれを哲学する2023

    • Author(s)
      荒畑 靖宏、吉川 孝
    • Total Pages
      304
    • Publisher
      晃洋書房
    • ISBN
      978-4-7710-3707-6
  • [Remarks] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/noriomuratajp

URL: 

Published: 2023-12-25  

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