2022 Fiscal Year Research-status Report
A historical survey of the ideas of philosophy in early Augustine
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21K00039
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐良土 茂樹 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (40711586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アウグスティヌス / 哲学 / 自由学芸 / 新プラトン主義 / 内観主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の二年目に入り、研究の展開に際して、主に3つの観点から研究を進めた。 (1)アウグスティヌスの「哲学」形成は、新プラトン主義の直観的思索、比喩的聖書解釈の技法、など複数の契機によるが、本年は特にローマ帝政後期の自由学芸(artes liberales)の伝統から位置づけることに注力した。その際に学修期の掉尾を飾る「ホルテンシウス体験」によるキケロの影響が『三位一体論』など最晩年の著作にまで刻印されていることを確認したことは、通説とは異なるかなり意外な発見であった。この成果は『哲学科紀要』に投稿した論文で発表した。 (2)自由学芸との関係では、初期哲学対話篇『教師論』(De magistro)を対話を通じての哲学教育という自由学芸の観点からの読み直しの可能性を探り始めた。分担者(佐良土准教授)による現代におけるスポーツ科学、コーチングにおける最近の知見をふまえることで「霊操」(excercitio spiritalis)という西洋中世の霊性の伝統との意外な接点を見出せるかもしれず、この点は更に継続して次年度以降の課題としたい。 (3)第三に、成立史ではなく、逆向きの影響史の観点からの展開。ペトルス・ロンバルドス以降の、特に13世紀フランシスカニズムの伝統の中で強調される「照明説」を中心とするアウグスティヌス主義の展開について、総会長ボナヴェントラの修徳的著作のうちに見出される「霊的上昇」の理念を再考し始めた。これらはまだ緒に就いたばかりで、本格的研究は次年度以降の展開としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年ほどではないが、コロナ禍のため、大学での授業や会議の負担が増大し、学生指導にも時間をとられ、施設の使用制限など、研究状況が悪化したが、2023年明けから、徐々に平時に戻りつつある。 (1)対面授業とオンラインのハイブリッド授業の運営に翻弄されて、研究代表者・分担者・協力者が一堂に会して密接な協力や討論という点でも不十分な感は否めない。その中でも何とか研究を推進し、3点ほどの論文を中心にして成果を少しずつ発表できた点で、まずまずの進展状況であると自己評価している。 (2)都内/海外の古書店を通じての文献蒐集の作業も不十分であり、そのため図書(消耗品)予算の消化執行も予定額を下回ったが、それでも幾つかの文献的な調査は進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
前期「概要」でもふれたように、今年度の到達した知見をもとに、さらに展開する形で、主として3つの方面から推進したい。 (1)自由学芸の理念の歴史的概観。特にアウグスティヌスの影響下にある、カッシオドロスやイシドロスなどのラテン教父、さらには12世紀のサン・ヴィクトル学派の学問論との比較。 (2)コーチング、自由学芸、霊操の比較にもとづく「生き方としての哲学」(P.Hadot)の再定義 (3)アウグスティヌス的照明説と呼ばれてきた理念の歴史的展開。特に13世紀フランシスカニズムの考察。
研究の手法の面では特に大きな変化はない。
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Causes of Carryover |
「概要」と「進捗状況」でもふれたように、コロナ禍のため、資料収集(図書・備品)の購入が一部滞った。また研究集会が開催されず、オンラインで行なわれたことなどが主要な原因である。感染状況が収まれば平時に戻れると思う。
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