2023 Fiscal Year Research-status Report
A historical survey of the ideas of philosophy in early Augustine
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21K00039
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐良土 茂樹 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (40711586)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アウグスティヌス / 哲学 / 自由学芸 / 新プラトン主義 / 内観主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)アウグスティヌスの哲学形成にとって重大な局面の一つは古代末期の「自由学芸」(artes liberales)との関係である。昨年度に引き続いて、三学(特に弁証論dialectica)と哲学・神学の三者がどのように関係するのか、をめぐってカッシオドロスやボエティウスとの比較・影響関係の追跡を推進した。アウグスティヌスが学問論をどの程度まで自覚的に意識していたのかに関してはH.I.マルーやW.イェーガーらの古典的な先行研究を仔細に検討している段階で、まだ文章化してまとめるまでには至っていない。
(2)今年度に掘り起こした新しい課題は、西欧中世におけるアウグスティヌス主義の形成・復興をめぐる諸問題である。12世紀の盛期中世を通じて、修道院神学と初期スコラ学の対立と交流の中から、主としてペトルス・ロンバルドス『命題集』によってアウグスティヌスが多数引用されるようになった。ここから20世紀の新トマス主義においても「トミズムの源泉としてのアウグスティヌス」という評価が定まったと思われるが、その内実・経緯・過程は必ずしも十分に明らかにされたとは言い難い。初期アウグスティヌスのうちに、こうした傾向につながる萌芽を見る可能性を検討した。
(3)分担者(佐良土准教授)によって推進された研究: 現代のスポーツ科学、コーチング理論を援用して、古代以来の「霊的修養」(exercitio spiritalis)の伝統を「生き方としての哲学」(comme maniere de vivre)として位置づける。これは近年紹介と翻訳が進んでいるP.アドやB.ストックの研究の、アウグスティヌスについての応用でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が終息して、大学での授業や会議、学会での発表や講演などの活動が平常に戻りつつある。 (1)研究資料の蒐集と整理は、学内の中世思想研究所との連携で順調に進展している。 (2)国内の若手のアウグスティヌス研究者との研究協力を計画していたが、実現には至らなかった。 (3)海外の研究者数人(A. Cooper, U.Cupe)との意見交換を1月と3月ににオンラインで実施したが、開催時間帯の設定や技術的な点で課題が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の手法の面では、特に大きな変化はない。 「概要」でも触れたように、今年度の到達した知見をもとに、さらに展開する形で、以下の3つの観点から推進したい。 (1)アウグスティヌスにおける哲学と自由学芸の理念との関係を、より精緻に掘り下げること。 (2)これと連動して、後の12世紀における中世アウグスティヌス主義の復興との関係を、フーゴ―『学習論』やペトルス・ロンバルドス『命題集』の読解・分析を通じて明らかにする。 (3)ヘレニズム以来の「生き方としての哲学」という古代哲学の理念の再定義を、現代のコーチング理論などを参照しながら、新しい形で模索する。
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Causes of Carryover |
当初計上してあった「旅費」及び「人件費・謝金」の項目は、コロナ禍の状況の中で、出張しての資料調査や、研究者を招聘しての研究会などが予定より大幅に減じた、またオンラインでの実施に切替えために、次年度以降に繰越す形で計上してある。
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Research Products
(2 results)