2021 Fiscal Year Research-status Report
The Construction of a Fundamental Text for the Clarification of the Problems of the Saddharmapundarika: Towards the Revision of the Kern-Nanjio Edition
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21K00058
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Research Institution | Minobusan University |
Principal Investigator |
西 康友 身延山大学, その他部局等, その他 (90761643)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Buddhist Studies / Saddharmapundarika / 仏教混淆梵語 / 『ケルン・南條本』 / 法華経 / インド仏教学 / 電子化テキスト / 言語解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
『ケルン・南條本』(KN)は、梵文法華経(SP)研究に一般的に用いられる標準テキストでありながら、編集方法・脚注に多くの不備がある。この解決にはすべての梵文法華経写本の語彙・語形・語法・書写法・韻律等の言語学的分析が必要である。 そこで本研究は、言語学的分析に基づいた梵文法華経写本集成本を作成し、KN脚注の補完を目的とする。 膨大な梵文法華経写本の言語分析作業を効率よく進捗させるために、研究協力者(情報工学者)と独自開発した言語解析プログラム解析ツールを開発・更新し、これを用いて、本研究を遂行する。 本年度は以下の研究作業を行なった: (1)SP第1-3章部分(KN第1分冊)のKN本文・脚注のローマ字化; (2)KNとKNに用いられたSP写本第1-3章のローマ字本17種類の電子化テキストの作成; (3)(2)で作成した18種類の電子化テキストの校正; (4)研究協力者(情報工学者)と独自開発した言語解析プログラム解析ツール開発・更新のための討議(毎月1-2回程度); (5)(2)の18種類電子化テキストを(4)の言語解析プログラム解析ツールに媒介させ、集成電子化テキストを生成; (6) KN脚注第1-3章の補完(本研究目的の成果)の原稿作成; (7) (6)の研究成果をPhilosophica Mahayana Buddhica第6号として刊行。 さらに、関連研究として著書2冊の刊行、学術論文2本、学会発表1回、講演1回を行った。これらの概要は身延山大学『日蓮学』に掲載予定であり、中央学術研究所所報「CANDANA」に掲載し、また佼成新聞2021年12月12日付と佼成新聞DEGITALに報道があるので、そちらも合わせて参照されたい: https://researchmap.jp/YasutomoNISHI/research_projects/32808047。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は梵文法華経(SP)『ケルン・南條本』(KN)本文・脚注のローマ字化と脚注補完である。今年度は、KN 第1分冊部分のSP第1-3章KN ローマ字本・脚注補完を遂行し、その成果をPhilosophica Mahayana Buddhica第6号に公刊した。 これが本年度の研究成果であるが、刊行予定が当初の計画よりも約1ヶ月、遅れることとなった。 この理由としては、本年度の研究実績の概要にある研究作業(1)-(7)のうち、特に(3)と(5)において、想定よりも上回る作業量が必要となり、具体的には以下の①、②により、多くの時間を費やさざるを得ない状況が生じたからである。 ① (3)では、KN本文のデーヴァナーガリー文字をローマ字化し、既刊の17種類SP写本ローマ字本に基づいて照合し作成する電子化テキストには、手入力が最も有効な方法であることが様々な観点・試行錯誤から、現時点で有効であり、最も効率がよいことがわかった。完全に正確なSP写本とKNのローマ字本の18種類電子化テキストを作成するには、それぞれのテキストにのべ最低8回の見直し、校正チェックを繰り返す必要がでてきたのであった。 ② (5)では、(3)で作成した18種類の電子化テキストによる集成テキストを首尾よく構築するため、PCを媒介とした集成テキスト作成プログラムを研究協力者(情報工学者)と討議しながら独自開発してきた。このプログラムの開発途中で、想定された結果が得られず、解決するまでに研究作業の進捗が滞ってしまった。 上記の問題が生じ、予定したよりも進捗が遅れたが、計画予定よりも約1ヶ月の遅れに留めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も、本年度と同様な以下の研究作業を遂行する: (1)梵文法華経(SP)第4-7章部分(『ケルン・南條本』(KN)第2分冊)のKN本文・脚注のローマ字化; (2)KNとKNに用いられたSP写本第4-7章のローマ字本11種類の電子化テキストを手入力で作成; (3)(2)で作成した12種類の電子化テキストの校正(正確になるまでチェック、少なくとも8回は校正チェックを行う); (4)研究協力者(情報工学者)と独自開発する言語解析プログラム解析ツール開発・更新のための討議(毎月1-2回程度); (5)(2)の12種類電子化テキストを(4)の言語解析プログラム解析ツールに媒介させた集成本の生成; (6) KN第4-7章部分の脚注補完(本研究の目的の成果)の原稿作成; (7) (6)の研究成果をPhilosophica Mahayana Buddhica Monograph Seriesから刊行。 これに加え、研究成果が広く活用されることを願い、Philosophica Mahayana Buddhica Monograph Series専用ウェブサイト(https://www.cari-saddharmapundarika.com/philosophica)でPDF版を公開し、研究者等にダウンロード入手可能とする予定である。
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Causes of Carryover |
物品費については、研究協力者に貸出す言語解析プログラムツール開発用のPCが以前に購入したPCで賄えたためで、今後の使用PCのOSアップグレード対応機種、劣化・故障等が生じた際に、購入予定である。またPC備品(マウス・キーボード等)の劣化・故障等やオンライン討議に必要になったiPadタブレット等の購入に使用予定である。 旅費については、新型コロナウイルス感染症のため渡航を延期したため不使用であった。感染症蔓延の状況によるが、次年度以降の学会発表等の参加・旅費交通費等で使用予定である。 また、言語解析プログラムツール開発・更新に係る打合せ・作業等が予定よりも増加したために、研究協力者への謝金に充てる予定である。
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Research Products
(12 results)