2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Dignaga's Theory of Inference based on Jinendrabuddhi's PST 2
Project/Area Number |
21K00062
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
桂 紹隆 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (50097903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 哲 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (00644080)
志賀 浄邦 京都産業大学, 文化学部, 教授 (60440872)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ディグナーガ / ジネーンドラブッディ / プラマーナ・サムッチャヤ自注 / プラマーナ・サムッチャヤ複注 / 推理論 / 因の三相 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ハイブリッド形式による集中研究会を1回、オンライン研究会を8回開催した。その結果、研究対象であるディグナーガの『プラマーナ・サムッチャヤ自注』(PSV)第二章に対するジネーンドラブッディの複注(PST)のウィーンから出版された校訂本の13-42ページを読了した。これでディグナーガ自身の「推理論」の三分のニを読み終えたことになる。 今回は、研究分担者の志賀氏と研究協力者である道元氏・酒井氏が、PSVとPSTのテキストと和訳、関連資料からの訳註を準備し、それを毎回20人ほどの聴講者が各地から参加し、吟味検討し、桂が司会進行を務めるという形で遂行した。 ヴァイシェーシカ学派の推理論を批判的に検討するディグナーガの「教理的伝承」(アーガマ)に対する考えが明らかになった。また、彼の推理論・論理学の核心である「正しい証因の三特徴」(因の三相)に関するジネーンドラブッディの複雑な注釈を読み解くことによって、これまでにない「因の三相」解釈を提示できるようになった。 さらに「推理対象は何か」という問題設定で、様々な可能性を吟味した上で、「推理対象は、推理されるべき属性に限定された属性保持者である」というディグナーガの見解が明らかになっていくプロセスを検討しつつある。 2023年度も引き続きオンラインによる研究会を定期的に行い、ディグナーガの自説部分の残りと世親の「ヴァーダヴィディ」、ニヤーヤ学派、ヴァイシェーシカ学派の推理論に対するディグナーガの批判部分を読み進める予定である。 また、これまでの研究成果を「インド学チベット学研究」などの学術雑誌に随時発表していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進行しているが、昨年夏、研究協力者でサーンキヤ説批判の部分を担当することになっていた筑波大学の近藤氏が急逝したことは大きな痛手である。彼は唯一と言ってもいい我が国におけるサーンキヤ研究者であり、その後を埋めることは、極めて困難である。彼の担当部分は、龍谷大学の吉田氏・道元氏と桂が協力して担当することとした。 2023年度が本プロジェクトの最終年に当たるが、コロナの影響もあり、十分に研究会を開催することができず、テキストの全131ページを読了することは期待できない。したがって、後一年延長する予定でいる。
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Strategy for Future Research Activity |
対面による研究会の開催よりも、オンラインによる開催の方が、日本各地のみならず、ウィーン在住の複数のプラマーナ研究者の参加が可能になるので、今後は原則としてオンラインの研究会を少なくとも月に1度、長期休暇中は、ハイブリッド形式も含めて数度開催する予定である。 これまで同様、担当者がテキスト、和訳、訳註を準備し、それをみんなで吟味検討して、なるべく妥当な結論、時には複数の解釈に到達するという形で進めていく。 2023年度には、上述のように、ディグナーガの自説部分の残りと世親の「ヴァーダヴィディ」、ニヤーヤ学派、ヴァイシェーシカ学派の推理論に対するディグナーガの批判部分を読み進める予定である。
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Causes of Carryover |
本来長期休暇中に対面で研究会を開催する予定であったが、コロナ禍のため実現しなかった。そのため旅費を消費することができなかった。 2023年は、対面での研究会のために研究協力者が旅費を使用する可能性もあるが、主として研究のために必要な図書を購入し、研究協力者に配布することによって、消費する予定である。 また、本年中には、最初の研究計画を完了することができそうにないので、あと一年延長して研究を続行する予定であり、そのために研究費を未使用で残しておく予定である。
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Research Products
(6 results)