2023 Fiscal Year Research-status Report
イスラーム諸思想における「グノーシス主義」の比較研究
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21K00067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊地 達也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40383385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 名誉教授 (70152840)
柳橋 博之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (70220192)
井上 貴恵 明治大学, 文学部, 専任講師 (70845255)
松山 洋平 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50748704)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イスマーイール派 / ドゥルーズ派 / ヌサイル派 / アラウィー派 / グノーシス主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者である菊地は、2023年9月の口頭発表において研究上の鍵概念となるカラーマに関して聖典に基づく分析をおこなった。カラーマ論は啓典クルアーンにおける人間の位置づけに直接的に関係するものであり、近代的な尊厳概念とは一線を画すものの、人間を生まれながらにして特別なものとして設定する。カラーマを通じて明らかとなるクルアーンにおける人間観は、イスラム諸思想におけるグノーシス主義的潮流を考察する上での基礎となった。また、『東大塾 現代イスラーム講義』に収録された論考ではヌサイル派(アラウィー派)、ドゥルーズ派などを取り上げてイスラム教における「異端」「正統」概念について考察した。ここでの分析によって、ヌサイル派、ドゥルーズ派といったシーア派系の秘教主義的教派がイスラム教内の主流的「正統」観念のもとでどのように位置づけられるのかが明らかになった。この論考では、イスラム国(IS)のような過激なサラフ主義者がヌサイル派などをどのように位置づけるのか、そして彼らとサラフ主義の原点とされるイブン・タイミーヤとの間ではシーア派観にどのような違いが見受けられるのかも明らかにしている。 研究分担者である鎌田は2本の論考と1冊の共著、3回の口頭発表を通じてシーア派系諸派とは一線を画す秘教主義を提示するスーフィズムについて分析をおこない、井上は1本の論考と1本の翻訳により同じくスーフィズムについて成果を公表した。また、柳橋は1本の学術論文を通じて初期法学について、松山は1本の論考、1回の口頭発表、1冊の図書を通して日本文化とイスラム文化の関わりについて考察をおこなった。今年度は研究分担者が多数の成果を発表し、全体として実り多き一年であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究自体は順調に進んだが、とりまとめや整理に時間を要したため次年度への繰越を申請することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は進展し、とりまとめと整理も順調に進んでいるので、今年度中に何らかの形で成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍は一段落したが海外渡航にはまだ難があったことに加え、研究のとりまとめと整理に時間がかかり次年度への繰越を計画したため。繰越金は2024年度の研究と成果公開で使用する予定である。
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