2021 Fiscal Year Research-status Report
Culture and Social Inclusion in Victorian Britain
Project/Area Number |
21K00082
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
崎山 直樹 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (10513088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田川 大典 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60284056)
藤田 祐 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (90710830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 思想史 / リベラルアーツ / 教育 / 社会史 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度ということもあり、本来ならば対面での研究会や対象地域での文献収集、史料調査を行う予定であった。しかしコロナ禍の影響もあり、当初の計画を大きく修正する必要があった。特に現地での文献調査、史料収集が難しかったため、研究成果の発表も、個別論文の発表というよりは、書評、翻訳、総説といった、研究動向や鍵概念の整理といった、これまで蓄積された知識・情報の整理、情報発信に軸足を置いたものとなった。 崎山は、『史学雑誌』の学界動向である「回顧と展望」において、「イギリス史近代」のパートを担当した。これは2022年6月に刊行予定である。2021年度に発表された書籍・論文のほぼ全てに目を通し、昨年度の研究動向をまとめた。これ以外にも『ヨーロッパ複合国家論の可能性』の合評会にて発表するなど、実証史学と思想史とを架橋するためのフレームワークの構築に取り組んだ。 藤田は、雑誌『現代思想』に、スペンサーに関わる論点をまとめた論稿を発表した。また社会思想史学会の大会にて「社会思想におけるリプロダクション」というタイトルで口頭発表を行った。 小田川は、雑誌『現代思想』にポストモダニズムと非基礎づけ主義に関する論稿を発表した。また日本イギリス哲学会の大会にてコールリッジについての口頭報告を行った。 研究チームとしての活動は、2021年3月に三人で行った研究セッションの報告をまとめ、『イギリス哲学研究』に掲載した(「セッション ヴィクトリア期における教養と一般教育の思想」『イギリス哲学研究』第45号(2022年)111-116ページ)。このように初年度の活動としては十分な成果を上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍ということもあり、当初予定していた研究会の主催や海外での文献資料調査が実施できなかった。 しかし、研究チーム間ではSlackなどアプリを活用し密に連絡を取り合いながら研究を遂行する環境を構築した。 対面での発表などは行えなかったものの、学会発表などオンラインでの講演などを通じて、幅広い学術領域の研究者との対話を行い、理論の枠組みを検討したり、研究の方向性を検討することができた。 また例年に比べ、各メンバーが書評や総説の執筆を多く担当した年でもあり、これらを通じて、研究動向の整理や理論の精緻化が図られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の目標は、現地での文献史料調査の再開である。 コロナ禍において多くの図書館、文書館がこれまで以上にデータのデジタル化やその公開を行ってきた。多くの史料が日本に居ながらにして確認できるようになった。しかしながらまだまだ多くの史料がデジタル化されておらず、現地での調査が必須である。 史資料に基づく実証研究と同時並行で、現代社会における教育という課題にも向き合っていきたい。これはコロナ禍が明らかにした教育の課題や社会のニーズとのズレというものがあり、この問題意識を掘り下げて行きたい。現代の課題と過去の問題がどのように繋がり、どのように繋がっていないのかを深く検討していきたい。
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