2023 Fiscal Year Annual Research Report
Culture and Social Inclusion in Victorian Britain
Project/Area Number |
21K00082
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
崎山 直樹 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (10513088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田川 大典 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (60284056)
藤田 祐 釧路公立大学, 経済学部, 教授 (90710830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 思想史 / 教育 / 社会史 / リベラルアーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「長い18世紀」から20世紀型現代社会にいたる過渡期であるヴィクトリア時代における教育を通じた社会統合の諸相を、「教養」と「包摂と排除」という観点から総合的に検討を行うものであった。特に①アイルランド・ダブリンにおける職業教育と任意団体、②リベラル・アングリカニズムと教育、③「科学と教養」論争の再評価という三つの研究領域を設定し、ヴィクトリア時代における「教養」の意義と社会包摂を総合的に考察した。 テーマ①については主に崎山が担当した。崎山は、在野の任意団体の活動に注目し、特に1830-40年代に各地で設立された「統計協会」と政治家、教育者を中心に設立された「中央教育協会」の関係に着目した。現地調査で得られた同時代資料ならびに同団体に関連した人々の文書などを分析した結果、「中央教育協会」が発行していた会誌や、編集者、関連する政治家と、在地の教職者の「組織」との交流が浮き彫りにされた。かれらは会誌や書簡を通じた交流を行うとともに、新しい時代に対応した教育のあり方を共に模索していたことがわかった。この発見に基づき、研究会にて報告を行った。 テーマ②および③については藤田と小田川が担当した。藤田はスペンサーの進化社会理論に関する論稿をまとめ、その当時の社会思想の形成のプロセスと教育との関わりについて検討を行い、論稿を発表した。 小田川は、ヴィクトリア時代の「教養」観の形成過程を検討するために、先行するロマン主義からの流れを明らかにすべく、コウルリッジの研究を行い、論稿を発表した。 このように本研究プロジェクトは十分な成果を上げることができた。
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