2022 Fiscal Year Research-status Report
ルネサンス期における預言と政治学―マキアヴェッリの宗教観と〈フィレンツェの神話〉
Project/Area Number |
21K00087
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石黒 盛久 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50311030)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚見 恵一郎 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
鹿子生 浩輝 東北大学, 法学研究科, 教授 (10336042)
村田 玲 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (20507892)
横尾 祐樹 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (40962030)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | マキアヴェッリ / ルネサンス / フィレンツェ史 / 終末論的予言 / 政治思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もまた先年度に引き続きコロナ禍の余波により、共同研究を満足行く程度に展開することができなかった。とはいえそのような状況下で実施された3回のZOOMを活用した研究会は、新たに研究協力者として参加を得た若手のイタリアにおける研究の最先端の報告や、マキアヴェッリのテキスト解釈上の難読個所についての徹底討論など、極めて充実した内容なものとなり、研究の遅々ながらも着実な前進を実感する機会となった。 こうした活動に力を得、具体的研究業績として石黒は本共同研究に関わる論文一編(「マキアヴェッリ思想における今民的心性の宗教的起源」『金沢大学歴史言語文化学系論集 史学・考古学篇』15)を公刊した。村田は前年に引き続き、マキアヴェッリ解釈者として重要な位置を占めるレオ・シュトラウスの宗教観を示す翻訳「翻訳 なぜ我々はユダヤ人であり続けるのか: ユダヤ教の信仰と歴史はなおも我々に語り掛けることができるのか?(2/2)」(『世界史研究論叢』11)を公にしている。 厚見は昨年本共同研究が定森亮氏を迎えて行った、同氏の著作の合評会を踏まえ、「書評 共和主義者モンテスキュー : 古代ローマをめぐるマキァヴェッリとの交錯[定森亮著]」(『社会思想研究』46)を、同様に石黒も同じ定森氏の著作についての書評「定森亮著『共和主義者モンテスキュー古代ローマをめぐるマキアヴェッリとの交錯』」(『神奈川評論』100)を公にし、その中でモンテスキューとの対比からマキアヴェッリの宗教観の一端についても識見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずコロナ禍により対面や移動に課せられた制約のため、相互の啓発を踏まえた「共同研究」を展開できなかったことが最大の理由である。その打開策としてZOOMによる研究会がこの数年来実施され、その経験を通じて如何にこうした手段を用い有効な研究活動を実現することができるか、ようやく目星がついてきたという段階である。これに加えコロナ対応により、大学等に在職する研究分担者の教育上の業務が激増し、研究に先売る時間が大幅に削がれたことも、計画未達の原因として否定できない。また研究分担者のうち何人かは、実際にコロナに罹患ししばらくの間闘病生活を余儀なくされている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の如くZOOMを活用した研究会運営の手法に熟達したことに加え、対面研究会実氏の可能性も高まってきたことから、まだはこれまでに倍する頻度で共同研究による切磋琢磨の場を持つことが必須となる。また本研究の最終目標として掲げた論集の刊行や、シンポジウムの開催も実現性のある具体的課題として、議論の俎上に上るようになってきた。今年はこうした事業の実現に向て、積極的に交渉を重ねる予定である。更にこれも記述の如く、優秀な若手研究者の本研究への参加を得たことから、彼らの実績を踏まえ研究業績の欧文による、海外研究媒体への投稿を踏まえた、本研究の国際化を加速させたいと考える。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍のもと引き続き海外調査に加え国内の対面研究会も実施が困難だったため、主要な支出項目である旅費の消化が全くできなかった。また研究分担者中複数名が、実際コロナに罹患し少なくない期間療養に努めざるを得なかったことによる研究活動の停滞により、物品費や図書費等の支出も予定通りに行かなかった。
|