2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00119
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Research Institution | Tokyo College of Music |
Principal Investigator |
太田 暁子 東京音楽大学, 音楽学部, 講師 (90399741)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 義太夫節 / 音楽学 / 三味線音楽 / 女流義太夫 / 娘義太夫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸時代から続く義太夫節の中でも女流義太夫(娘義太夫、女義太夫)の資料研究を音楽面に重点をあててアプローチを進めるものである。 三味線音楽、とくに浄瑠璃の分野における歴史的研究は、主として男性演者が対象とされてきた。その主たる理由は文楽をはじめとする人形浄瑠璃や、歌舞伎などの芝居、演劇に関わっておらず、表舞台に立っていない活動に関する客観的資料は、追求しにくかったことが大きい。 実は現在に至るまでもなお義太夫節の演奏、義太夫節の普及に関係する人口の拡大や伝承に関して女性演者の存在は非常に重要であった。にもかかわらず、現在にいたるまで研究対象としては殆ど看過されて来ている。女流義太夫に関する資料は、演劇と異なりそもそもまとまった記録として残りにくかったり、処分されてしまう資料が多く、散逸しやすい。本研究は先行研究を踏まえてそうした資料をさらに収集、整理をしながら、さらにとくに音楽的な資料を読み解くことによって彼女たちが果たしてきた義太夫史上の役割を検証することを試みている。 2021年度は対面を要するリサーチを次年度以降に持ち越し、他のリサーチを優先して行った。具体的には現在、一般社団法人義太夫協会が所蔵している女流義太夫奏者に関係する資料のリサーチ作業を中心的に行い、それと並行して放送関係の資料のリサーチや整理、加えて今後の資料収集や保存のために関係者への研究活動をアピールする手法などの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、新型コロナウイルスの蔓延が想定より長引き、資料を所蔵する諸機関の開館状態の回復が想定より緩慢であった。そのため、一般社団法人義太夫協会が所蔵する資料を主たる対象としたリサーチを行い、対面を要するリサーチは次年度以降に持ち越すこととした。 主に現在一般社団法人義太夫協会が所蔵している女流義太夫奏者関係資料の入手経緯の確認、その整理、他機関所蔵状況との比較、分類、検証を行った。 手法としては所蔵資料の写真撮影および分類(方法の検討も含む)、データベース化の作業を主に行った。 また、ラジオやテレビで放送された奏者のデータや、SP等に録音された演奏資料のデータに関しても作成、奏者の個人データ照合する作業を始めた。これはいずれ楽譜や番付などの音楽的資料と紐付けて統合し、音楽史を辿る上での手がかりとする。 また、本研究を行っていることを各関係者にアピールし、女流義太夫奏者、関係者個人所蔵の資料が今後出来るだけ散逸しないようにする対策を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は、対面を要するリサーチも含めた活動を行う予定である。 とくに昭和の時代、義太夫節愛好家による発表会が盛んに開かれ、そこに芸名を持っている演奏家が助演をするという形の素人による義太夫発表会(以下、素義会=そぎかい)が多く出演している。このような素義会関係の資料はあまり貴重な資料と認識されないためか非常に散逸しやすかったものの、2021年度に確認された資料を検討することによって、素義会の主催者や開催目的などの種類が実に多岐に及んでいることが確認され、徐々にその概要が明らかになりつつある。2022年度は引き続き芸名を持った演奏者からのアプローチという視点で義太夫協会以外の諸機関の資料とも積極的に照合するとともに、関係者からの話を聞いたり、その人たちがどのような会にどのように関わり、何をどのように演奏していたのかということを検討したりすることを試みる。 また、引き続きラジオやテレビで放送された奏者の演奏データや、SP等に録音された演奏資料のデータに関しても作成、奏者の個人データと紐付けて照合する作業も行っていく。 さらに番付資料のみならず、音楽的資料(おもに現在個人蔵となっていない楽譜資料)のデータ化、分類、系統立てへの検証にも着手する予定である。 引き続き、本研究を行っていることを各関係者にアピールし、女流義太夫奏者、関係者個人所蔵の資料が今後散逸しにくくするような対策を検討、遂行していく。
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Causes of Carryover |
元来2021年度に購入予定であったパソコンとその周辺機器の購入を2022年度以降に持ち越し、Wifi環境を整える方向にシフトした差額が原因である。2021年度はコロナ禍中が続いたために移動を含むリサーチを後回しにしたことに加え、4年間という研究スパンであることから、その判断は今後の研究活動に差し支えないという結論に至った。
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