2022 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical Basis of Design Aesthetics through Exhibitions as Historiography in Local Cities within Globalism
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21K00130
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Research Institution | Shizuoka University of Art and Culture |
Principal Investigator |
天内 大樹 静岡文化芸術大学, デザイン学部, 准教授 (40615035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デザイン史 / 展示 / コレクション / 観光 / 野外博物館 / 建築保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では,前年度の野外博物館における建築展示を引き続き考察の端緒と位置付け,日本建築学会で与えられた機会を用いた.とくに前年度寄稿した国内向け研究委員会報告書の内容をもとに,委員会外の先生も迎えて大会でリアルに意見交換することができた.さらに,その英語版を大学紀要に寄稿し,近代建築・都市を捉える際の観点を海外研究者に問う環境を整えた.また現代美術展を契機としてテーマパークのデザイン,現行の美術マネジメントを皮切りに主体をキーワードとして考察範囲の総体を捉える機会を得た.これも日英併記であり,海外研究者にウェブ経由で公開する機会を設ける予定である. また国内見学では上記日本建築学会の機会を活かして民族博物館の現状を視察することができた.この文脈はデザインミュージアムの観点と比べて倫理的な側面が強く問われるが,歴史展示という大枠から見て展示構成や展示物の選定などから比較可能であり,考察を次年度進める予定である.所属大学に模型が寄贈されたレオナルド・ダ・ヴィンチに関しても美術の文脈から少し離れつつも現代的な展示のあり方を見学した. 海外見学も可能となり,年度末にイギリス・ロンドンにてヴィクトリア&アルバート博物館,大英博物館ほか,スコットランド・ダンディーにてヴィクトリア&アルバート博物館ダンディー分館を見学した.第一にデザイン史研究の総本山ともいうべき施設,その一端としての展示構成を初めて目にしたこともあるが,第二にロンドンとダンディーとでは展示の枠組みが大きく異なるが,それが展示室・展示館の建築的構成上の限界や可能性とも関係していることを確かめ,第三に両者とも歴史に埋もれてきた女性の貢献の再評価,(手芸とまではいかないものの)手工芸や繊維産業などの見直し,名も知れぬ労働者たちの声を拾う作業など新たにスタンダードとなりつつある倫理的側面が強く出ている点を特徴と受け止めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのデザイン史研究のアウトリーチとして『デザインの歴史』を刊行し,そのデザイン史の枠組みを英国出張を通じて改めて見直すことができた.これまでの研究については引き続き海外出版などにつながっているため,海外との対話の準備を積み上げられていると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
さしあたり海外への論文刊行,研究者SNSなどを通じた英語論文の交換などを進める.また上記見学(北海道,英国)の成果をまとめながら,展示という観点がもたらす思わぬ視野の広がりを整理したい.
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Research Products
(3 results)