2021 Fiscal Year Research-status Report
多文化国家ベルギー形成と音楽:多文化における「ベルギー的なもの」の創出に着目して
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21K00140
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Research Institution | Hiroshima Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
大迫 知佳子 広島文化学園大学, 学芸学部, 准教授 (40624218)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベルギー音楽 / ブリュッセル王立音楽院 / アントウェルペン王立音楽院 / リエージュ王立音楽院 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、19世紀後期~20世紀中期のベルギー諸言語圏における、王立音楽院院長達の著作・作品・教育構築活動と、音楽文化・教育政策との関係を読み解くことを通して、国内外の音楽文化の複雑な均衡の中で「ベルギー的なもの」がいかに創出され、それが国民統合の面でベルギー形成をいかに支えたのかを考察するものである。当初の研究実施計画にしたがって、2021年度は以下の3点を中心に研究を進めた。 1)19世紀後期~20世紀中期における、ブリュッセル王立音楽院、アントウェルペン王立音楽院、およびリエージュ王立音楽院の歴史と歴代院長達の言説を、その周辺事項も含めて、一次資料および先行研究の分析に基づき整理した。 2)上記院長達の音楽作品を収集・整理した。また、ブリュッセル、アントウェルペン、およびリエージュのそれぞれの地域における地域歌や民謡等についても併せて収集・整理し、一部作品については分析を試みた。 3)先行研究においてベルギー主要政党への影響が指摘されている、仏・独の社会学思想を、先行研究の分析に基づき整理した。 さらに、旧ベルギー領コンゴの音楽を巡るベルギーの動きについても念頭に置いておく必要性を感じたため、補足的に資料収集を行った。2022年度は、上記の分析・整理の結果に、①院長達の教育構築活動、②音楽以外の芸術分野の先行研究における「ベルギー的なもの」、③教育政策、という3つの視点を加え、「ベルギー的なもの」の創出の諸相について考察していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により、2021年度に行う予定であった海外渡航を延期した。この延期に伴い、ベルギーにおける資料調査・収集、研究協力者達との面談、調査・収集・面談を受けての分析・考察の大部分が未遂行となっている。 以上のことから、本研究の進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年5月下旬より、ベルギーへの渡航制限が緩和された。従って、2022年度は、新型コロナウィルス感染拡大予防を巡る各国の方針等を見極めながら渡航計画を立て、着実な海外資料調査・収集・面談に基づく研究遂行に努める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、主として次の2つである。つまり、深刻化した新型コロナウィルスの影響により、①海外渡航(調査・面談等)の延期が必要になったこと、②諸学会・研究会がオンラインで開催されたこと、の2つである。繰り越した研究費は、当初の申請費目の通り、延期した海外渡航、渡航後の成果発表、および諸学会・研究会への参加のために使用する。
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