2022 Fiscal Year Research-status Report
1920-50年代のデザイン/工芸の実践に関する基礎的研究
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21K00159
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Research Institution | The National Museum of Modern Art, Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 優衣 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 工芸課, 主任研究員 (00443466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デザイン / 図案 / 工芸 / クラフト / 生活 / 美術 / 百貨店 / 近代 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は前年度の調査を継続し、デザインと工芸に関する美術雑誌の文献調査を行ったほか、主に下記の2つの個別研究を進めた。 ①杉浦非水の旧蔵資料に関する調査およびデータベース化 2021年度から進めてきた東京国立近代美術館所蔵の杉浦非水旧蔵資料のデジタル化について、非水によるスクラップブックおよび手製封筒入りのスクラップのデジタル化を完了した。現在、その内容についてのデータベース化に着手しており、これによって将来的な非水研究に役立つ基盤形成を進めていきたい。 ②1920年代から1930年代の都市生活に関する資料調査 『三越』や『廣告と陳列』などの雑誌を中心とした文献調査を進めた結果、現代ではありふれた電飾が新時代の広告として関心を集めている事例が多くみられた。これは百貨店という一小売店の販売戦略にとどまらず、大衆の夜間の生活や都市計画とも関連してこの時代に新たな変化をもたらしたとみなすことができる。人工的な電気による「光」の使用が可能になったことと、照明による表現の多様化が具体的な作品表現としてどのように表れているかという点が新たな研究対象として浮かび上がってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戦前と戦後の状況の比較を行うことが本研究の主眼であり、いずれの文献調査も進めてきたた。しかし入手を予定していたいくつかの文献の収集が難航しており、百貨店での工芸展全体の変遷を追うところまで調査が至っておらず、全体としてやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査の範囲を広げるとともに、これまでの調査によって重要性が改めて明らかとなった電飾や人工の電気による光と、当時のデザイン・工芸の関連性の調査を進めていきたい。具体的には杉浦非水の作品にみられる光の表現を時代性との関連から考察する予定である。
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Causes of Carryover |
購入予定であった文献(古書雑誌)が入手できなかったことと1件の調査が実現できなかったため次年度使用額が生じた。いずれも次年度に執行予定である。
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