2021 Fiscal Year Research-status Report
18世紀フランスの王妃をめぐる表象研究―マリー・レクザンスカとアントワネット
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21K00167
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
小林 亜起子 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (00618275)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マリー・レクザンスカ / ベルサイユ宮 / パストラル / フランスの王妃 / 室内装飾 / 絵画趣味 / 田園趣味 / 18世紀フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、18世紀ブルボン朝の二人の王妃―ルイ15世の正妃マリー・レクザンスカ(1703-1768)とルイ16世の正妃マリー・アントワネット(1755-1793)―をめぐるイメージについて、美術史研究の視点から総合的に明らかにすることにある。国王の表象については、これまでさまざまに議論・研究がなされてきた。しかし王妃については多くの場合、代表的な肖像画が王妃の生涯を語る上での視覚的資料として提示される程度にとどまる。本研究は、王妃が関与した建築・室内装飾、王妃と関連付けられる美術作品の分析と一次史料の調査を通じて、王妃の表象について包括的に検討していく。 2021年度には研究を遂行する上で基礎となる調査が実施された。本年度はルイ15世統治下のヴェルサイユ宮の造営、室内装飾に関する資料の収集、マリー・レクザンスカのために制作された絵画作品の基礎情報の整理と画像収集が行われた。 これらの調査研究の成果の一部は、フランス語の論文としてまとめれられた。そこでは、マリー・レクザンスカの時代におけるヴェルサイユ宮の王妃の内殿に飾られた絵画作品の特質について論じられた。同論考で明示されたように、王妃の内殿には数多くの「パストラル(牧歌的理想風景)」を主題とする作品が展示されており、それらの作品選択には王妃の意向が大きく反映されていた。一連の絵画によってヴェルサイユ宮の一角に作り出された田園趣味の絵画空間は、その後マリー・アントワネットがトリアノンで実現した田園趣味の建築装飾を検討する上でも注目に値する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の考察対象となる18世紀の王妃に関わる建築装飾、絵画作品に関する基礎作業及び資料収集はおおむね予定通りに進行しており、新知見を有する論文を欧文で発表することができた。また、王妃を論じる上で重要な核となる18世紀の王権と芸術に関連して、王立絵画彫刻アカデミーの画家と王立ゴブラン製作所のタピスリーに関する口頭発表を行った。さらに、ルイ15世とマリー・レクザンスカの治世下に国王の首席画家として活躍したフランソワ・ブーシェと王立タピスリー製作所に関する総合研究を行い、その成果はフランス語の論文(ローザンヌ大学博士学位論文)として公刊された。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の調査・研究方法に関する変更は予定していない。2021年度と同様、論文の執筆を継続して行う。現地調査の実施については、渡航制限等の状況に応じて適宜判断する。今後も欧米圏の学芸員や研究者と連絡を取り合い、作品に関する最新の情報を入手したいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(781円)は、購入を予定していた洋書を定価より安く古本市場から入手したことによって生じた。これについては、2022年度の文献複写代に充てることを予定している。
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Research Products
(3 results)