2023 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀フランスの王妃をめぐる表象研究―マリー・レクザンスカとアントワネット
Project/Area Number |
21K00167
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
小林 亜起子 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (00618275)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マリー・アントワネット / タピスリー / 王立ゴブラン製作所 / 王妃の間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、18世紀ブルボン朝の王妃の表象について、美術史の視点から包括的に分析することを目的としている。2023年度は、王妃マリー・アントワネットの肖像に焦点を絞り研究を進めた。王妃の肖像については、すでに画家ヴィジェ・ル・ブランによる油彩画の肖像をはじめ、さまざまな作品が知られている。当該年度は、これまでほぼ看過されてきたゴブラン製作所で織り出された一連のタピスリーによる肖像の調査及び分析を行った。 18世紀、ゴブラン製作所は、国王や王妃をはじめとするブルボン王家や王侯貴族の肖像に精力的に取り組んでいた。マリー・アントワネットの肖像もその一環として制作された。こうした織り出された王家の肖像は、当時よりヴェルサイユ宮殿の「王妃の間」をはじめとする室内に飾られていた。タピスリーによる王妃のイメージについて詳細な分析を行うことにより、これまで主に絵画や彫刻、版画媒体にもとづいて形成されてきた王妃のイメージ体系の重要な欠落を補完することを目指した。 研究を遂行する上では、国王ルイ16世(在位:1774-1792)とマリー・アントワネットの時代における、ゴブラン製作所のタピスリーの制作状況の実態を把握することが重要な課題となった。そこで、王妃の肖像分析と並行して、ルイ15世およびルイ16世の時代にかけて成功を収めたタピスリー連作(神々の愛)について一次資料にもとづく研究を行った。これらの研究成果は、美術史学会全国大会の口頭発表および、雑誌論文として発表された。タピスリーによる王妃の肖像に関する新たな知見は、フランス語による論文(本年度は未刊行)としてまとめられ、共著として刊行される予定である。
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Research Products
(2 results)