2022 Fiscal Year Research-status Report
ソ連非公式芸術のアーカイヴと亡命芸術家コミュニティに関する地域横断的研究
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21K00176
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
神岡 理恵子 早稲田大学, 文学学術院, その他(招聘研究員) (10454000)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ソ連非公式芸術 / ソ連非公式文化 / 亡命ロシア人 / ロシア芸術 / ロシア現代美術 / アーカイヴ / エスノグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も前半では引き続き新型コロナの影響による渡航制限があり、さらにロシアによるウクライナへの軍事侵攻で始まった戦争も収束の見通しがなく、現地調査も現実的ではなかったため、基本的にはこれまでに収集した資料の整理と分析を行った。とりわけ前年度の続きとして、今年度は1980年代の欧州での活動状況とアートシーンとの関連を分析した。研究対象としているアーティストたちはそもそもかつての亡命者であり、多くが何らかの形で反戦の意思表示なども行っているため、現在進行形でどのような活動や発言が行われているのか、年度を通して情報収集と整理を行った。戦争の影響については、重要な調査項目として新たに設定した。ロシア国内では言論活動・表現活動が一層困難になっていく状況が生じており、表現者たちに対しどのようなことが行われ、また彼らの間でどのような困難が生じているのかについても把握する必要があり、このテーマについても情報収集を恒常的に行った。さらに若い世代を中心にロシアからの出国者も相次いでいて、当研究で扱っている1970年代のソ連からの亡命者たちの「第3の波」に続く「第4の波」とも言われ始め、この状況についても情報収集を行った。 このほか、並行して実施してきた別課題(主にアメリカの状況を研究)で秋に学会出張を行った際に、欧州の研究者たちとの人脈を構築できたため、関係を継続・発展させて来年度以降の調査を実現する計画を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も前半は引き続き新型コロナウィルスの影響で国外での調査が困難であった。またロシアによるウクライナ軍事侵攻も長期化して、すぐに終結という話ではなくなっていったため、年度内の現地調査は現実的ではなくなり、当初の調査計画を見直す必要があったため。コロナ禍で始まった物流状況も改善せずロシアでの出版資料の入手にも困難が生じている。さらに、当初の計画にはなかった戦争の影響調査も引き続き調査すべき大きな問題として浮上しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は新型コロナの制限が解け、ようやく欧州でのアーカイヴ調査や聞き取り調査が実現できそうなため、現地調査を実施する予定である。その際は、アーカイヴ調査だけでなく、現在新たに進行中の”亡命の波”についても、当事者の聞き取り調査を拡大しながら現状把握に努めたい。コロナ禍以降、入手困難だった資料が調査で揃えば、亡命雑誌に関する論文の後半を完成させ、学会や論文で発表する。
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Causes of Carryover |
2年目も前半は新型コロナの影響で海外渡航が困難であったこと、また長期化するロシアによるウクライナ軍事侵攻でロシアでの現地調査が現実的ではなくなり、当初の計画通り出張ができなかったため。またコロナ禍から続く物流の停滞でロシアからの資料入手にも困難が生じているため。来年度は欧州での現地調査を実施する計画である。
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Research Products
(1 results)