2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00178
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
喜多 恵美子 大谷大学, 国際学部, 教授 (30410971)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 須永文庫 / 書画 / 東京美術学校 / 在日コリアン |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染状況と防疫対策が新段階を迎え、2022年度は国内外での調査を実施することができた。 まず、在朝鮮日本人画家の加藤松林人関連では、引き揚げ後の加藤と親交のあった在日コリアンの遺族を訪問しインタビューを行った。オーラルヒストリーの採取について継続して実施する予定である。 資料調査としては、佐野市郷土博物館において、開化派の金玉均、朴泳孝らを支援した実業家であり漢学者の須永元が所蔵していた朝鮮関連の資料を調査した。今回は蔵書や手稿の調査がメインであったが、同時期に調査にきていた韓国の国外所在文化財財団が行っていた朝鮮書画の悉皆調査に立ち会わせてもらい、その全貌を把握することができた。また茂木克美館長が主導する須永元日記の翻刻作業についてもご教示いただき、その成果を共有させていただいた。調査過程において、韓国の研究者たちとの意見交換を行っただけでなく、調査の見学に来られた国内の研究者とも繋がりができたことは大きな収穫であった。日韓における研究協力体制を模索していきたい。 またこの間、工芸家高村豊周が朝鮮美術展覧会審査のために初めて朝鮮を訪問した際の記録を入手した。この資料を元に、韓国での調査を二度実施し、当時の朝鮮美術展覧会審査員の朝鮮での動向や人的交流の一側面を把握すると同時に、日朝間をまたぐ東京美術学校同窓生の紐帯についても確認することができた。 日朝間を往来する美術家という側面からは、関東大震災が日本人美術家と朝鮮人美術家にそれぞれどのような影響を及ぼしたのかについて考察し、韓国の独立記念館で開催された国際シンポジウムにおいて発表を行った。その内容を論文化したものを2023年度内に韓国の学会誌において発表する予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度の後半になるまで国内外の調査を実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
加藤松林人を直接知る人たちへのインタビューを行う。国内外の調査についてはひきつづき実施する。特に佐野市郷土博物館の須永文庫についてあ韓国国外所在文化財財団とも連携する予定である。また、国内外の研究者との交流をさらに深めるために、韓国の研究者を招聘し研究会を開催する計画をすすめている。
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Causes of Carryover |
3月購入書籍の証憑をそろえるのに時間を有し、精算が4月になったため次年度使用額が生じた。2023年度に精算する。
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Research Products
(2 results)