2022 Fiscal Year Research-status Report
イスラームの図像文化における世俗性の表現をめぐる実証的研究
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21K00180
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
林 則仁 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (20738215)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イスラーム美術 / 聖性 / 世俗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究は新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響で、国外での調査は断念せざるを得ない状況であったため、可能な限り、関連する出版物の収集や海外の美術館・博物館・図書館などと連携して情報の収集に尽力した。 本研究課題の遂行において、イスラーム美術の具象表現(とりわけ人物表現)が研究対象となるため、重要な先行研究をいくつか抽出し、詳細な分析を試みること、特定の研究者との意見交換を積極的に行い、研究の方向性や重要性を再確認することを最優先課題とした。 その中で、デンマーク・コペンハーゲンのディヴィッド・コレクションで2017年に開催された<THE HUMAN FIGURE IN ISLAMIC ART, Holy Men, Princes, and Commoners>においてイスラーム美術の「聖性」と「世俗性」が一つの論点になっていることに着目し、本展覧会を主催したディヴィッド・コレクションのフォルサック博士およびメイヤー博士と2023年2月に意見交換会を実施し、イスラーム美術における聖性と世俗性について議論を行った。また、ディヴィッド・コレクションが所蔵する作品をもとに本研究課題を今後進めていくことについて同意を得ることができた。 2022年度は上記のとおり、資料収集と意見交換の場を積極的に持つことを最優先としたため、まだ研究成果を発表するまでには至っていないが、2023年度以降の研究を大きく前進させるための準備期間としては大変有意義なものとなっており、研究は順調に進行していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国外出張がいまだ難しい状況にあったため、海外での調査は2023年度以降に後回しし、資料収集と研究者との意見交換を最優先とした。そのため、一部の計画を変更しているが、全体的には概ね予定どおりに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はようやく海外出張が可能となりそうなので、後回しとなっていた現地調査を積極的に実施し、これまでに蓄積させていた情報の整理をして研究成果につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によって予定されていた海外出張が延期となったため、次年度使用額が生じている。現在、状況は改善されつつあり、2023年度には実施が概ね可能と判断される。
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