2023 Fiscal Year Research-status Report
The historical significance of Architectural Decoration in the Meiji period from the point if view of "Art-Architeture"
Project/Area Number |
21K00181
|
Research Institution | Kyoto University of the Arts |
Principal Investigator |
河上 眞理 京都芸術大学, 芸術学部, 教授 (20411316)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 美術建築 / 木葉会 / 塚本靖 / 佐藤功一 / 浅井忠 / 辰野金吾 / 松岡壽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の近代美術史及び近代建築史研究においてほとんど重視されてこなかった「家屋装飾」という分野を、美術と建築を横断する〈美術建築〉の観点から分析し、その歴史的位置付けを明らかにするものである。 2023年度は「水彩画の練習会」として発足した木葉会の展覧会活動、そこでの展示作品に関する情報を収集するとともに、同会の中心メンバーとして活動し、後に建築、工芸、デザイン分野に関する執筆活動を通じて当該分野に多大な影響を及ぼしたと考えられる塚本靖に着目して研究を進めた。 塚本靖は辰野金吾弟子の第一世代として知られており、東京帝国大学においても辰野が担当していた講座ポストを継承した建築家だが、彼についての建築史からの研究は思いのほか少ない。一方、美術史においては、1900年のパリ万博前後に留学し浅井忠や和田英作と塚本との交流について言及はされてきたが、詳細な研究がなされてきたとは言いがたい。そもそもなぜ建築家の塚本は美術家と深い交流をしていたのか、その理由については全く検討されてこなかったが、本報告者は〈美術建築〉を伝えた辰野と同様に美術家との交流が建築に携わる上で重要だと塚本も意識していたからだろうと仮説を立て、これを立証すべく研究を進めた。具体的には、塚本と1900年前後期にパリに在住していた画家らとの交流、帰国後の彼らとの交流を調査すべく、千葉県立美術館所蔵の絵葉書を閲覧し、内容の精査を進め現在にいたる。成果の一部は2024年度秋に同美術館で開催予定の浅井忠展図録において公開する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塚本靖を研究の軸に据えることで、辰野金吾が導入した〈美術建築〉の継承・展開を解明することができることを確信しており、その成果は論文として2024年度秋に同美術館で開催予定の浅井忠展図録において公開することも決まっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
千葉県立美術館所蔵の塚本靖関係の絵葉書に関する研究を引き続き進める。 また東京大学大学院工学系研究科建築学専攻デジタルミュージアム準備室に所蔵されている塚本靖関係資料の閲覧を申請し、許可が得られれば詳細研究を進める予定である。 また早稲田大学における建築学創設期に関し、同大学において所蔵資料等の閲覧を申請し、許可が得られれば詳細研究を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
2023年度は国内での研究を優先したため、21年度来の研究費が持ち越されたため。
|