2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00183
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Research Institution | Nagasaki Junshin Catholic University |
Principal Investigator |
浅野 ひとみ 長崎純心大学, 人文学部, 教授 (20331035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カトリック / 東京国立博物館 / キリシタン / カンティーガス / メダル / 信仰具 / デヴォチオ・モデルナ / ラ・サレット |
Outline of Annual Research Achievements |
キリシタン信仰具の現存伝世品は、17世紀から19世紀までのものが混在しているために、幅広い知識を必要となる。革命や戦争によってヨーロッパの残存例は非常に少ないが、機会をみつけては地方美術館や聖堂付属ミュージアムを訪問し、実作例に触れる機会を増やすようにしている。また、カクレキリシタン関係の作例は、日本在来宗教の影響を受けているため、国内での展示作例を実見する機会も重要であり、時間の許す限り関連する展覧会に行くようにしている。8月初めには、東京国立博物館のご協力を得て、長崎奉行所没収品のカトリック・メダルの金属組成・形式分類・熟覧を含めて学際調査を行えたことは有意義な成果であった。夏季休業中は、大英図書館を始めとして、ロンドンでの文献調査を行い、フランスでは「不思議のメダイ」関連の愛徳修道会聖堂博物館(パリ)、勝利のマリア聖堂等を実見、関係書籍を購入し、ラ・サレット聖堂等を見学し、マドリッドへ移動してスペイン国立図書館で文献調査を行い、帰国後、奈良で「南山城の聖地」展を見学し、長崎へ戻った。秋には、東博所蔵カトリック・メダルに関して文化財科学学会でポスター発表を行った。さらに長崎市八百屋町からの発掘品のうち、キリスト教関連品(木製小十字架、ストラ断片、ビーズ各種)に関しての美術史的考察を論稿としてまとめた。また、千々石ミゲル墓所出土品に関して、改訂論文を発表し、デヴォチオ・モデルナについての考察を進めるために、アルフォンソ賢王の『カンティーガス・デ・サンタ・マリア』についての論文を共著で刊行した。さらに、東彼杵教育委員会からの依頼によりキリシタン石碑の実地鑑定を行い、所見を提出し、研究成果の社会還元に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3本の論考をまとめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、これまでに得られたデータをもとに論文をまとめる。
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Causes of Carryover |
夏季の研究調査費用が出かける前の概算で確実に足りない見通しであったために、1か月のヨーロッパ滞在にもかかわらず、日当を3日間分しか計上できなかった。帰国後に総務課科研費担当者からも経理課長、財務部長からも残金があるという指摘は無く、私は全部使い切っていると思い込んでいた。しかし、5月にこの書類を作成する際に5万円近くの残があるということを初めて知り、私費で支払った旅費に充ててほしいと伝え、総務課は了承してそのように書き直して学振に提出したが、財務部が6月に入ったら前年度の会計を修正できないと主張したので、このような結果にいたった。本年度も夏の旅費で使う予定である。
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