2022 Fiscal Year Research-status Report
大谷探検隊将来品を中心とした西域美術の再評価に関する研究
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21K00186
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Research Institution | Tokyo National Museum |
Principal Investigator |
勝木 言一郎 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 上席研究員 (50249918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川原 育子 名古屋大学, 人文学研究科, 助教 (10262825)
荒木 臣紀 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, 室長 (20537344)
谷口 陽子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40392550)
高嶋 美穂 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, 特定研究員 (80443159)
岩田 朋子 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (80469204)
宮田 将寛 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 専門職 (90737503)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大谷探検隊将来品 / 西域 / 甘粛省敦煌莫高窟 / キジル石窟壁画 / ホータン / ドイツ・トルファン探検隊将来品 / シルクロード / 新疆ウイグル自治区 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一に、2022年度、東京国立博物館に寄贈された菩薩立像について、調査研究を行った。まず菩薩立像の来歴を調査し、第三次大谷探検隊が敦煌を訪れた際にそれを収集し、その後、大谷光瑞の別荘であった二楽荘で保管されていたことが明らかとなった。また菩薩立像に対する美術史的な調査を行ったところ、その材質が塑造彩色であること、当時、大谷探検隊の輸送方法を考慮すれば、菩薩立像はかなり損傷を受けたと推察されるが、製作当初がよく残っていると判断されたこと、そして菩薩立像の様式が敦煌地域の菩薩像と合致することが明らかとなった。さらに菩薩立像に対し、CTスキャン撮影を行ったところ、菩薩立像の内部にいくつかの心材が組み合わされ、それに土が重ねられるなどの構造が明らかになった。 第二に、ドイツ・トルファン探検隊がクチャのキジル石窟(現在の新疆ウイグル自治区)で採取した壁画20面について、調査研究を行った。ドイツ・トルファン探検隊は採取した壁画の裏面を石膏で固める方法で壁画を保存し、そして採取した時期や場所を記録していた。それらの壁画には、当時の石膏が今日まで残っており、いずれもドイツ・トルファン探検隊の記録が確認できたことから、いつ、どの洞窟から壁画を採取したのかを調査した。 第三に、ホータンの寺院遺跡から出土した壁画断片11面、ストッコ断片などについて、調査研究を行った。とくに壁画については主題が不明なものが多かったため、その特定を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍にあり、国内外の調査活動がかなり制限された。ただし、東京国立博物館に寄贈された大谷探検隊将来品の一つである菩薩立像、ドイツ・トルファン探検隊将来品であるキジル壁画、そしてホータン出土の壁画断片などを調査研究できたことにより、大幅な遅れにまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、大谷探検隊が甘粛省敦煌地区から将来した菩薩立像について、文化財科学的な彩色の調査を行い、彩色材料を特定するほか、菩薩立像の製作地を特定する。 第二に、ドイツ・トルファン探検隊がキジル石窟で採取した壁画20面について、文化財科学的な彩色の調査を行い、彩色材料を特定するほか、壁画20面を採取した時期や場所、壁画の主題を特定する。 第三に、ホータンの寺院遺跡から出土した壁画断片11面について、文化財科学的な彩色の調査を行い、彩色材料を特定するほか、壁画の主題を特定する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあり、国内外での調査研究活動が制限されたため。 西域美術研究のために、研究資料を収集したり、コレクションを調査したりするために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)