2023 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Origin of Togatta Kokeshi Dolls by Historical Research, Artistic Verification and Scientific Analysis.
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21K00195
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Research Institution | Tohoku Seikatsu Bunka College |
Principal Investigator |
鶴巻 史子 東北生活文化大学, 美術学部, 教授 (90792896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 専 東北生活文化大学, 美術学部, 教授 (90865081)
北折 整 東北生活文化大学, 美術学部, 教授 (70195246)
加藤 理 文教大学, 教育学部, 教授 (20383466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 赤外線撮影画像 / マルチアングル撮影 / 放射性炭素年代測定 / 生活文化 / こけし / Kokeshi |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も申請書記載のように、歴史調査のチームと美術調査のチームでそれぞれ研究を遂行し、これまでの研究の取りまとめと成果の公表を行った。 歴史調査のチームは、こけしが系統別になっていることを発見し、日本で最初のこけし研究書である『こけし這子の話』(昭和3年)を出版した天江富弥の活動に焦点を当てて調査・研究を行うことと、こけしの誕生にも関わる江戸時代末期の交通インフラの整備と、温泉地の興隆に関する調査・研究を行った。交通インフラなどに関しては、江戸時代後期に書かれた紀行文、随筆を探り、鳴子温泉と遠刈田温泉が湯治場として栄えた様子について確認し、その中で湯治場土産としてのこけしの誕生について考察した。 美術調査のチームは、昨年度に撮影した可視光線と赤外線のデータを編集し、高解像度モニターで模様や描彩を細密に観察しながら美術的検証を行った。可視光線データでは経年劣化により退色し肉眼で見えにくかった胴に描かれた模様部分の描彩を鮮明に把握することができた。赤外線データでは墨で描かれた頭部の繊細な筆使いを精細に可視化することができた。検証結果と撮影データを確認しながらこけし工人と共に実物での復元を試みた。 科学的分析では、昨年度行った加速器質量分析(炭素年代計測)の試料から得られた結果を確認し、1890年(明治23年)頃に活動していた遠刈田系こけし工人を洗い出した。作者を検討するため、撮影データから筆使いや描き方を観察した。 これまでの研究成果についての公表として、三春郷土人形館(福島県田村郡)、西田記念館(福島県福島市)にてパネル形式で展示報告を行った。また、東京文具共和会館(東京都台東区)にて対面とオンライン形式で報告会を実施した。本研究で撮影したデータは今後のこけし研究に役立てるため、インターネット上で公開する予定である。
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