2021 Fiscal Year Research-status Report
川端文学におけるアダプテーションの考察―活字から舞台・映像への翻案
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21K00197
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
福田 淳子 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (70218923)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 川端康成 / 文学 / 映画 / テレビドラマ / 演劇 / オペラ / エンターテインメント |
Outline of Annual Research Achievements |
自作小説の映画化が40作以上なされている川端康成作品は、昭和初期から現在に至るまで、映画のみならずテレビドラマ・演劇・オペラなど多様なジャンルにわたってアダプテーション(=翻案・脚色)がなされてきた。日本初のノーベル文学賞受賞作家として純文学に位置づけられながらも、作品は早い時期からエンターテインメントとして社会に組み込まれ、商業的にも様々な形で利用されてきた。本研究は、川端作品を原作・原案とする映画・テレビドラマ・舞台作品を具体的事例として、文学作品が映画やテレビドラマ、舞台など、多様なメディアにアダプテーションされる状況を調査し、それらがエンターテインメントという枠組みの中で総合的に捉え直したときに社会においてどのような意味を持つのかを明らかにすることを目的としている。 初年度にあたる2021年度は国内外を視野に、映画・舞台・テレビドラマの3ジャンルについて歴史的変遷を明らかにし、考察の基本資料となる文献収集や資料調査を行った。具体的には、国会図書館・松竹大谷図書館・早稲田大学演劇博物館・国立映画アーカイブ等の図書館・専門施設やデータベース等を利用し、パンフレット・シナリオ・台本等の調査等を行った。また、収集した文献資料の精読、内容整理を進めた。その他、関連する映画、舞台公演等、DVDのみならず映画館や劇場での視聴にも努めた。 新型コロナウイルスの影響で海外への渡航は困難と判断し、国内を中心に実地調査を進める計画を立てていたものの、緊急事態宣言解除後もまん延防止等重点措置が継続され、国内の移動についても制限されたため、都内を中心とした調査となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で海外渡航は困難な状況が継続する可能性を考え、2021年度の調査研究は国内での資料調査を中心に計画していた。しかし、緊急事態宣言解除後もまん延防止等重点措置が長く続き、国内においての移動も制限されたため、関西・九州方面の施設や資料館等、現地に赴いての調査は実施できなかった。また、緊急事態宣言解除後に閲覧可能となった図書館・資料館においては、予約制を取る施設がほとんどであり、さらに閲覧の時間制限や冊数制限が設けられるなど、短時間で限られた閲覧しかできない状態であった。予約制や時間制限は現在でも続いている。 このような状況下で予定どおりに調査を進めることは困難であり、インターネットを使用しての調査が中心とならざるを得ず、計画は遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染の影響は今後も続くと思われるが、昨年度の遅れを取り戻すとともに、当初の研究計画に従い、国外での調査についても視野に入れながら進めていく。 具体的には、初年度の調査を継続しながら、国内外での情報収集や文献収集、演出家・作曲家や他のスタッフへのインタビュー調査を可能な範囲で進め、制作動機や目的、脚本・演出等の詳細について調査し、映像化・舞台化の分析につなげていく。作品においては構成や演出等の内容分析・映像分析に努め、享受者側についても新聞・雑誌等の劇評・映画評等の収集・分析、SNS等の書き込みについても検討を行い、多角的に作品把握を行う。同じ原作の作品については比較分析を行う。川端作品の映画上映や舞台公演等の状況調査・情報収集については国内外とも継続して進める。 川端康成没後50年にあたる2022年は関連行事が各方面で予定されており、可能な限り足を運ぶ。川端康成学会では国際シンポジウムが計画されており、登壇する予定である。また、昭和女子大学近代文化研究所発行のブックレットに研究成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言および解除後のまん延防止等重点措置により、海外のみならず国内においての移動も制限されたため、予定していた関西・九州方面への実地調査が実施できなかった。そのため、調査に伴う旅費、消耗品費等に対する予算が消化できず、次年度使用額が生じた。
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