2021 Fiscal Year Research-status Report
インプロ(即興演劇)とジェンダーのアクションリサーチ~演者の変容過程に着目して~
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21K00205
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
直井 玲子 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (00734295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園部 友里恵 三重大学, 教育学部, 准教授 (80755934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インプロ(即興演劇) / ジェンダー / アクションリサーチ / 演劇 / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インプロ(即興演劇)におけるジェンダー・バイアス克服を目指して米国で考案された上演形式「ザ・ベクデルテスト」(BT)の構造及び背景にある理念を明らかにするとともに、日本において継続的にBT実践を行うことによるインプロ演者の変容過程を解明することである。 そこで本研究では、5月に「インプロとジェンダー探究プロジェクト」を立ち上げ、「インプロとジェンダー」を探究することに関心のあるインプロ舞台出演経験者を募り、研究協力への同意を得た上で本研究の実施主体となるパフォーマンス集団を結成した。実践開始前に構成員16名への個別インタビュー調査を行い、各構成員の「インプロとジェンダー」をめぐる意識を聞き取った。6月以降、毎月2回程度の定例会(稽古)をオンラインにて開催し、7月、10月、3月に一般公開パフォーマンス(公演)をオンラインにて開催した。各パフォーマンス開催後には、構成員16名への個別インタビュー調査を行い、稽古・公演を通して感じたことを省察する語りを抽出した。なお、9月には、BTの考案者である米国のインプロ実践者リサ・ローランドらを招聘し、BTの具体的実践方法を学ぶとともに、考案の背景にある理念をインタビュー調査によって明らかにした。以上の実践・調査データから、映像および発話書き起こし記録を作成・蓄積してきた。 成果報告としては、日本質的心理学会に論文投稿して採択された(「なぜ私たちはインプロとジェンダーの実践研究をしなければならなくなったのか:「ザ・ベクデルテスト」との出会いをめぐる相互インタビューから」、現在ウェブ公開待機中)ほか、日本質的心理学会(10月)にてシンポジウムを、表象文化論学会(12月)にてワークショップをそれぞれ企画・開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は当初の計画通り、プロジェクトの立ち上げ、アクションリサーチの継続を遂行でき、順調に実践・調査データが蓄積されている。また、研究成果の中間報告として、論文1点(査読有)、学会におけるシンポジウム1件と、ワークショップ1件を開催することができた。以上よりおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度についても、「インプロとジェンダー探究プロジェクト」をアクションリサーチの基盤として実践研究を継続していく。具体的には、BTの開発に携わった米国のインプロ実践者複数名を招聘しインプロワークショップを定期的に開催していくほか、成果を一般公開するためのパフォーマンス上演(公演)も年に3回程度実施する。また、各公演終了後には、構成員への個別インタビュー調査を実施し、実践を通した変容過程を辿っていく。なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、2022年度についてもオンラインで実践・調査を遂行する予定である。 〇論文 直井玲子・園部友里恵(2021)「なぜ私たちはインプロとジェンダーの実践研究をしなければならなくなったのか:「ザ・ベクデルテスト」との出会いをめぐる相互インタビューから」『質的心理学研究』第20号臨時特集 pp.149-156 〇発表等 園部友里恵、直井玲子、菅田真理子、中込裕美、中村真季子、堀光希、飯田正人、石田喜美「「ザ・ベクデルテスト」をパフォーマンスする:インプロ(即興演劇)とジェンダーの探究」(企画シンポジウム) 日本質的心理学会 第18回大会 2021年10月24日 園部友里恵、直井玲子「誰が「決める」のか:即興演劇の上演形式「The Bechdel Test」における主人公像の協働構築の方法」 表象文化論学会 第15回研究発表集会 2021年12月4日
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Causes of Carryover |
社会情勢の影響により、洋書の輸入に想像以上の時間が必要だったため、次年度使用額が生じました。今年度は出来るだけ早めの注文を行い、今年度中に予算執行いたします。
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