2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00206
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
小原 伸一 宇都宮大学, 共同教育学部, 教授 (30344906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 声楽発声 / 姿勢 / 重心 / 安定性 / 評価方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
声楽発声時の演奏姿勢評価法を導くため、発声時の立位姿勢における重心とその安定性に着目し研究を進めた。初年度の令和3年度では、立位姿勢の重心測定のための機器について、機器開発研究機関であるPatella社の開発担当者と検討を重ねシステムが完成し納品となった。 2年目の令和4年度は、この測定機器を用いた実験の試行検討の期間となっている。予備実験に相当する測定を行い、その測定から予想されるシステムの課題を明らかにし、改良点の検討を行った。改良点は主に二つの観点から考えた。第一点目は、システム機器の改良、第二点目はシステムのプログラム(ソフトウェア)の改良である。 第一点目の機器について、開発時に検討した出張測定に対応する小型軽量化の点では、全体の重量が当初より増加していたが、実用上問題ないことを確認し た。実際に測定試行を行った際、フォースプレートの床面との設置安定性に不安と思われる箇所があることが判明した。初期設計では、フォースプレートの水平 設置のための床面との高さ調整について、厚みの異なるスペーサーを組み合わせ、4点ある脚部部品それぞれについて床面との隙間に差し込む形で対応するよう になっていたが、設置の簡易性や確実性、水平を確保するために必要な調整作業にかかる時間の問題、及び、被験者が測定時に立つためフォースプレートに片足 を乗せた時に生じるプレートの浮きが安全性の面で再度検討が必要であることが明らかになった。第二点目のプログラムについては、測定項目、測定精度、測定値の記録、測定値の表示等について検証したが、初期段階で改善の要望をしたい点があった。特 に測定値の画面表示について、人体の直立安定性を測定する場合の変動の値に対して、発声時の値は異なる特徴を有しているため、被験者の特性をわかり易く表 示するための改良が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年目の令和5年度は、新型コロナの影響が長引く状況があり、被験者のマスク使用等など心理的整理的負担が残ることとなり予備実験を十分に行うことができなかった。今年度はこのような中で、本実験の実施とシステム改良の2点について研究を推進した。①本実験(本測定)の実施。年度内に測定協力が得られた京都市立芸術大学に於いて出張測定を行った。現役学部学生、大学院生、修了生の協力が可能となり、異なる声楽経験を持つ複数の被験者のデータを取得した。②システム改良の実施については、計測システムの改良について引き続き検討を行った。課題となる改良点は、主に以下の2点であった。(1)システム機器のハードウェア改良、(2)システムのプログラム(ソフトウェア)の改良である。 ①京都市立芸術大学にて本実験を実施、その測定状況情報や取得データをPatella社の開発担当と共有した。データをふまえ、フォースプレートの床面との設置安定性に不安と思われる箇所の改良(初期モデルでは、フォースプレートの水平設置のための床面との高さ調整について、厚みの異なるスペーサーを組み合わせ、4点ある脚部部品それぞれについて床面との隙間に差し込む形で対応するようになっていたが、設置の簡易性や確実性、水平を確保するために必要な調整作業にかかる時間の問題、及び、被験者が測定時に立つためフォースプレートに片足を乗せた時に生じるプレートの浮きが安全性の面で改良の余地があることが明らかになっていた)と、プログラム(測定項目、測定精度、測定値の記録、測定値の表示等について)の改良を実施した。特 に測定値の画面表示について、4つのセンサーのリアルタイム値をX ,Y方向の値に変更することや、フォースプレートの設置方向との画面表示の整合性確認を容易にすること、記録した重心同様データの画面表示(拡大表示)を可能にする、などの改良を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、これまでの進捗状況の遅れから、計画を1年延長することを申請し許可され4年目の研究期間となる。次年度は改良を加えたシステムを用い、今年度に取得した本実験(本測定)データを元に、研究目的とシステムの整合性や適合性(重心動揺値・音声・映像データ)および取得データの分析方法について検討を行う。本研究は音響学会の中の音楽音響の領域に含まれるものであるため、当該領域の研究者から研究に対する客観的な意見をいただき、それをふまえ研究の成果をまとめられるように進めたいと考えている。この点について東京藝術大学の協力を得られることになり、出張測定の可能性も含め計画を立て実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究は当初3年間を期間とし計画していたが、新型コロナの影響により、声楽発声を含む測定の実施が大幅に制限されることとなった。この影響により、2年目の予備実験を進めることが不可能な状況が生じ3年目にも及ぶこととなった。当初より1年から2年程度の測定実施計画に対する遅延が生じたことにより研究内容の延期分を4年目に実施する。内容はシステムの改良に関する費用、出張測定実施に係る旅費・謝金等を予定している。
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