2021 Fiscal Year Research-status Report
可視化した音声データを活用した歌唱指導の有用性の検証と声楽指導法の体系化
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21K00219
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Research Institution | Nagoya College of Music |
Principal Investigator |
森 雅史 名古屋音楽大学, 音楽学部, 准教授(移行) (50767663)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 声楽 / 音声 / クラシック音楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の柱である、「歌唱時の音声可視化システム」は、様々な側面から機材や環境を考慮して実際のクラシック歌唱時の音声分析に最適なものを準備したが、コロナウィルスの影響で、マイク等の購入が遅れてしまうなど、いくつか当初予想していた時期からは遅れはしたが、2021年12月14日と15日に研究者の本務校である名古屋音楽大学にて、東京芸術劇場トーンマイスター:石丸耕一氏監修のもと、動作の確認実験が行われ、本研究課題を立証するだけの実用性と正確性が証明された。また、いくつかテストを繰り返した結果、この音声可視化システムにおいては、「5チャンネル」による音声収集が最適であることが判明した為、5本の収音マイクの位置が、歌手からどの程度の距離感で設置することで安定したデータとして収集が可能かも精査し、ひとつの結論にも達することが出来ている。 その上で、同じく石丸氏監修のもと、数名の歌手より同意を得て、その音声可視化データの収集や、可視化データの波形と実際の歌唱時の音声への歌手の認識レベルの差異に関しても歌手の意見を収集し、実際の指導に用いる際の、より合理性に繋がる情報として得ている。 「歌手は歌唱時の歌声を、外耳で認識できない事」から、声楽学習者の指導補助を目的に発案した本研究だが、10名を超える学生を対象にした本システムを用いた指導内容からは、自身の歌唱時の音声を客観視することで、その特性の理解に繋がりやすく、従来の指導の説明の捉え方が大きく変化するなど好意的な返答が殆どだった。システムを活用した指導法の体系化を今年度中に目指したい。また本システムの特許申請も行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウィルスの影響で、機材の購入やシステムの最適化と構築には遅れが出たが、年度中に予定通り取り揃えることができた。実際のシステムを用いた音声収集や、システムを活用した指導も実施しており、その体系化に関しては予定よりも時間は必要になると予測するが調整が可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降は、世界各国の現役のオペラ歌手、に協力してもらい彼らの歌声やSPレコードに代表される1890~1950までの歌手の歌声を、指導の比較対象、参考用に可視化データとして収録しアーカイブ化を進める。 また、本システムを用いた指導法の有用性が非常に高いことが判明したことから、中長期的なシステムを伴った指導法に関しても視野に入れて、学生の被験者への質問・確認事項をとりまとめていくつもりである。 コロナウィルスの流行の収束が確認でき次第、現役のプロの声楽家達の音声データー収集も積極的に実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
音声可視化システムを効率よく運用する上での関わるエンジニアへの謝礼が今年度は発生しなかったことが理由として挙げられる。 指導法の体系化を進めるにあたり、歌唱データ提供者やシステム使用に関しての人件費などに助成金を用いていく予定である。
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