2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the process of architectural design in case of the contemporary artist's participation
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21K00221
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
郡 裕美 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 教授 (70780013)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 建築 / 芸術 / アーティスト / 古民家再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、アーティストでありながら建築作品を多く残している荒川修作の思想と彼の建築作品についての研究に着手した。荒川は、美術家として、建築の可能性に着目し、住人の運命を変えるほどの力を持った建築として、「三鷹天命反転住宅」を実際に建設した。この研究を進めることで、美術家が建築設計に関わる意味について、またそのプロセスが明らかになり、アーティストの表現のプラットフォームとしての建築の可能性を考えるきっかけになる。
また、もう一つの事例として、空き家が増える富士吉田の商店街で古家再生を通してやまちづくりを行なっているアーティストの調査研究に着手した。これは、アーティストが、新築だけでなく、建築の改装を通じてアート活動を実践している重要な事例である。この事例研究を通して、商店街再生や、古民家改装もアーティストの表現プラットフォームとしての可能性を探る重要な研究になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
荒川修作が作った「三鷹天命反転住宅」の現地調査を通してその建築の特徴を理解し、写真撮影、実測記録を作成した。また、荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所から、荒川修作が美術から建築への興味を持ち始めた経緯を聞き取った。また、「三鷹天命反転住宅」の前プロジェクトである志多見プロジェクトの資料を収集し、三鷹との違いを分析するための準備を進めた。さらに「三鷹天命反転住宅」の企画、検討段階から基本設計、実施設計の書類を入手した。また、2022年3月11-15日に京都で開催された荒川修作+マドリン・ギンズの国際会議《AGxKANSAI 2022》に出席し、荒川修作の建築に関連する様々な思想についての理解を深めた。 また、アーティスト八木毅氏の活動に注目し、八木氏が手がけた空家や空き店舗の改装事例の一つである宿泊施設SARUYAの現地調査を行った。八木毅氏の作品であるSARUYAは、通常のリノベや改装とちがい、アート的な視点があることで周りの建物と異彩を放ち、富士吉田の町に重要な魅力を加えている。八木氏がアーティストとして古民家改装設計やまちづくりに関わるようになったきっかけや背景、改装のプロセスについての聞き取り調査を行う準備を進めている。 また、研究データを整理するためと、論文資料を作成するためのコンピューターを整備した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、昨年度、調査で得た資料の整理をする。また、不足分の情報収集をする。また、海外での事例調査をするために、今年の夏にブラジルと米国に渡航し、今回の科研のテーマに関連する作品の現地調査、資料収集、アーティストへの聞き取り、そのきっかけを作る非営利のアートマネージメント団体などのへの聞き取りを行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で予定していた出張が行けなかったために未使用額が生じた。次年度に、研究調査のための出張費に充てる予定である。
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