2022 Fiscal Year Research-status Report
沖縄音楽専門レコード会社のディスコグラフィー作成 ─録音産業の歴史的研究─
Project/Area Number |
21K00230
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
高橋 美樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (30403869)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 沖縄 / レコード / 録音 / ディスコグラフィー / 民謡 / 古典音楽 / レコード会社 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では第1に、ルポライター・竹中労(1930-1991)が制作した沖縄音楽LPレコード36枚(1970年ー1981年)のディスコグラフィーを作成した。第2に、竹中が沖縄音楽を〈外向き〉に発信する〈媒介者〉として、どのような方策を実践していたのか明らかにした(高橋美樹2023:179-225参照)。LP36枚の録音方法はライブ録音、スタジオ録音、現地録音の3種類に分類できる。1974年ー1975年「琉球フェスティバル」(於:東京・大阪・京都)の実況ライブ録音と、1970年代に日本で主流になったライブ録音との関連性を探った。結論は下記4点である。 【1】ディスコグラフィーを分析した結果、全393トラック中、ライブ録音は44%を占め、スタジオ録音の34.6%を上回った。ジャンル別に分類した結果、沖縄民謡160.6トラック(40.9%)、新民謡84トラック(21.4%)、八重山民謡48トラック(12.2%)となった。歌手別では嘉手苅林昌が最も多く、全体の44.5%を占めた。 【2】竹中の〈仲介行為〉を整理した結果、(1)沖縄民謡歌手との媒介として、人選からマネージメントまでを担った。(2)レコード会社との媒介としてLPを企画し、録音に立ち会い、曲目解説を執筆した。(3)全国的な沖縄島うたブームを作り出すために、1974年ー1975年「琉球フェスティバル」を開催した。 【3】竹中の〈伝達行為〉を整理した結果、(1)1969年ー1975年沖縄旅行記を雑誌『話の特集』に連載した。(2)1972年『琉球共和国』、1975年『琉歌幻視行』の著書を出版した。(3)1991年NHK衛星放送「沖縄・魅力のサウンド」を企画し司会を務めた。 【4】1969年ー1991年の活動を通して、竹中は沖縄島うたに関する〈音響・映像のルポルタージュ〉を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関わる調査は順調に進んでいる。これまで沖縄現地調査で収集したレコード及び目録を整理し、各レコード会社別にデータベース化を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.戦前、那覇市に設立された〈トモエ・レコード〉の活動記録とディスコグラフィーを作成する。 2.1955年那覇市に設立された〈マルタカ・レコード〉の活動記録とディスコグラフィーを作成する。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】2022年度に実施予定だった 石垣市立八重山博物館の調査を2023年度に変更したため。 【使用計画】1.沖縄・八重山諸島調査のための国内旅費に使用する。2.沖縄音楽専門レコード会社の関連書籍及びレコード・CDに使用する。
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