2021 Fiscal Year Research-status Report
Art Education and Citizenship Education: Social Possibilities of Arts-Based Research
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21K00233
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Research Institution | Nagaoka Institute of Design |
Principal Investigator |
児美川 佳代子 (小松佳代子) 長岡造形大学, 造形研究科, 教授 (50292800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生井 亮司 武蔵野大学, 教育学部, 教授 (20584808)
笠原 広一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50388188)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Arts-Based Research / 市民性教育 / 美術教育 / 哲学対話 / アートグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、(1)理論的研究(2)国際共同研究(3)実践的研究の3つの柱を立てて進めることを計画して進めてきた。 (1)理論的研究としては、本課題に参加している研究者全員が寄稿した英語の著書Arts-Based Methods in Education in JapanがオランダのBrill社から出版された。執筆者の多くは日本人であるが海外の出版社から英語で発信したことで、国際共同研究の基盤にもなる。また国内でも『アートベース・リサーチがひらく教育の実践と理論(ABRから始まる探究(1) 高等教育編)』『子どもの表現とアートベース・リサーチの出会い(ABRから始まる探究(2)初等教育編)』という2冊の本を編集し出版した。この他に学会や研究会で美術教育を市民性教育に接続するための基礎的な文献を整理するなどの研究成果を発表した。 (2)国際共同研究は、コロナ禍のため当初参加を予定していた国際美術教育学会が延期になってしまったが、それでもオンラインでの発表や、実践をもとにした国際的な共著が出版された。Walking with A/r/tographyは、研究代表者小松と研究分担者笠原が参加した国際共同研究の成果である。笠原は韓国、中国、カナダの研究者との共同研究を進めている。 (3)実践的研究としては、研究分担者生井が2022年3月に「自由」をテーマにした哲学対話を行った。笠原は、アートに基礎付けられたワークショップの実践を行いその体験理解について、国内外で研究発表を行った。また、駅ビルの空きテナントでワークショップや展示を行うことで美術の場を市民に開く社会実装を試みた。研究代表者と研究分担者との研究会としては、オンラインで2回、対面で3回行い、研究の進捗状況をそれぞれが発表したうえで意見交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度、コロナ禍の影響で参加予定だった国際美術教育学会が延期になった。この学会発表に向けて研究代表者と研究分担者が自らの研究の中間報告をまとめて、一つの発表として統合することことを予定していたが、これが実現しなかった。そのため、それぞれが別個に研究を進めるほかなかった。コロナ禍は、本研究の柱のうちの国際共同研究と実践的研究においても大きな制約となっている。国際的な人の行き来ができない状態で、オンラインでの学会発表などは行っているものの、直接会って議論するほどの深い研究交流ができない状態である。展示やワークショップ、哲学対話といった、直接人が会って、見て、作って、議論することで思考が深まる機会も、当初の予定通りにはできていない状態である。感染対策を十分講じたうえで、それでも実践してきたが、この点はやはり制限なしの状況に比してやや遅れているといわざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍は簡単に収まる状況にないため、現在の状態を前提に研究を推進していく必要がある。2022年度は、栃木県小山市車屋美術館での展示とシンポジウム、ワークショップを予定している。作品展示に関しては、感染対策をしたうえで実現することはほぼ確実にできると考えているが、シンポジウムやワークショップは、感染状況次第で人の移動が難しくなる可能性もある。それゆえ、本展覧会では、充実した図録をつくり、そこに制作者の自己批評や研究者による論文を掲載することで、万が一、実際に会って議論することが不可能になった場合の対策を講じておく。また、2021年度には着手できなかった、それぞれの研究成果をまとめて、統合的な視点を得るべく、3人の研究者が集まる研究会を対面・オンラインで実施する機会を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度参加を予定していた国際学会が、コロナ禍のため延期になったため。今年度は、研究代表者と分担者それぞれの研究を持ち寄る研究会を複数回開催したいと考えている。可能ならゲストスピーカーを招聘して、研究の成果をまとめることに着手したい。
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[Book] Walking with A/r/tography.2022
Author(s)
Lasczik, A., Irwin R. L., Cutter-Mackenzie-Knowles, A., Rousell, D., & Lee, N. (Eds.) Koichi Kasahara, Satoshi Ikeda, Kayoko Komatsu, Toshio Ishii, Takashi Takao, Kazuji Mogi, Minori Inoue, & Kaho Kakizaki
Total Pages
294
Publisher
Cham: Palgrave Macmillan
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[Book] モノの経験の教育学 : アート制作から人間形成論へ2021
Author(s)
今井康雄;Nohl, Arnd-Michael;鈴木, 優;真壁, 宏幹;小松佳代子;池田, 全之;Atkinson, Dennis;Wulf, Christoph;Koller, Hans-Christoph;木下, 慎;Wigger, Lothar;山名, 淳
Total Pages
309
Publisher
東京大学出版会
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[Book] 身心文化学習論2021
Author(s)
樋口聡・;釜崎, 太;上泉, 康樹;新保, 淳;松田, 太希;裴, 芝充、小松佳代子・リチャード・シュスターマン・グンター・ゲバウア、新保淳、須谷弥生、山内規嗣、丸山恭司、今井康雄、佐藤臣彦
Total Pages
167
Publisher
創文企画
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