2022 Fiscal Year Research-status Report
Rethinking Fashion Globalization from an Inter-Asian and Japanese perspective
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21K00237
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
高木 陽子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60307999)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ファッション / グローバル化 / アジア / 脱植民地主義 / テキスタイル / ジャポニスム |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は1)戦後日仏ファッション交流、2)昭憲皇太后の大礼服をプロトコルとアイデンティティの観点から検討した。 1)第二次世界大戦後、欧米諸国における日本文化のイメージは、日米関係を軸に再構築されたが、日本のファッションは既成服のメッカであるアメリカでなく、パリとの密接な関係を強めていった。この過程を日仏の文化表象と認識の交流の観点から考察し、フランスファッションにおける新しい美学(若さと未熟さの価値)の発見を、ピエール・カルダンと高田賢三の事例を通して位置づけた。成果は、パリのコレージュ・ド・フランス で開催された国際シンポジウム「 ネオ・ジャポニスム, 1945-1975 」で「戦後フランスファッションにみるジャポニスムの痕跡」と題する口頭発表をおこなった。 2)西洋が植民地化政策を進めていた19世紀、日本は近代化すなわち西洋化の熟達を示すことで独立を維持した。西欧の宮廷服の採用は、日本の近代化を分かりやすく示す指標となった。本研究では、昭憲皇太后の大礼服に焦点をあて、 「昭憲皇太后大礼服研究修復復元プロジェクト」を展開中の中世日本研究所と協働してTransboundary Fashion Seminar 8.1を開催した。修復中の大礼服の保存・修復・展示の問題に貢献することを目的に、文化学園服飾博物館所蔵のほぼ完全な大礼服と、皇室にゆかりのある大聖寺所蔵の大礼服のボディスとトレーンを比較した。19世紀の宮廷衣裳は、西洋のプロトコルに基づき、グローバルなファッショントレンド下にあった。そこで、英国から宮廷衣装研究者Dr. Joanna Marschner (Historic Royal Palaces)、合衆国よりLACMA学芸員を招き、同時代の各国の宮廷衣装との比較を通じて、国産生地の活用を進めながら、日本人がどのように西洋のシステムに適応していったかを検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を超え、国際セミナー(英語)開催と国際シンポジウムにおける研究発表(フランス語)をおこなった。 国際セミナーでは、4か国から7名の発表者を集め充実した発表と議論を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、2022年にコレージュ・ド・フランスで口頭発表した「戦後フランスファッションにみるジャポニスムの痕跡」を発展させ、フランス語論文として出版する。また、ファッションのグローバル化を、東アジア地域に拡大して検討する。
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