2021 Fiscal Year Research-status Report
創造的思考力の育成を目指すICTを活用した表現・鑑賞往還型教材の開発
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21K00242
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
白石 恵里 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 助教 (20804652)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 図画工作 / 教材開発 / 創造的思考力 / ICT / 3D |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、創造的思考力の育成を目的に、小学校図画工作科「A表現」と「B鑑賞」が相互に働きかけ、一体的・往還的に学習しながら育成できるICTを活用した教材・授業プログラムの開発を目指している。具体的には、児童が3D機器を用いて2次元(平面)から3次元(立体)を機械的に創り出す技術を体験的に知り、手でつくることとデジタルでつくること両方の造形手法からの学びの中で、3Dデータ化や3Dプリントされた造形物を鑑賞することで新たな視点を獲得し、ものの見方や捉え方の多角化、新しい技術をどのように取り入れ活用するかなど、創造力や発想力を高め培う教材を目標としている。 2021年度は研究の初年度にあたり、①3Dプリンタおよび3Dアプリケーションの調査・試用、②美術系大学生(彫刻分野)への試行・アンケート調査を行い、教材・授業プログラムへ導入する機器および製品として有用であるか検討した。また、それらについてまとめ、美術科教育学会東京大会にて報告した(白石 2021)。 実体のない見るものから触れるものへと機械的に変換し、創造する魔法のような体験は、感受性豊かな児童にとって驚きや感動、創造力を刺激する活動になりえ学習効果が期待できる。3D機器を教材活用することで、創造的思考力を育成しながら図画工作科の教科目標を達成するだけでなく、プログラミング教育が目指す、「知識及び技能」「学びに向かう力」「創造力」「論理的思考力」等の育成の実現も可能になると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度(研究初年度)に計画していた通り、①3D機器・製品の調査・試用、②大学生への試行・アンケート調査を実施した。3Dプリンタおよび3Dアプリケーションの調査・試用では、教育活用実績とアフターサービスが充実している3Dプリンタを調査し導入検討した。3Dスキャナ・3Dモデリングアプリは試用しながら操作性や造形性、再現性、導入する3Dプリンタおよびタブレット端末との互換性を確認し、開発する教材・授業プログラムに導入可能か検討した。美術系大学生(彫刻分野)への試行では、導入検討した機器・製品が児童向け教材として実用可能かどうか検証し、アンケート調査を実施した。大学生の試行と調査から、導入検討した3Dプリンタ・タブレット端末・3Dスキャナアプリ・3Dモデリングアプリは、開発する教材・授業プログラムへの導入に有用であったため、これらの機器・製品を取り入れて教材開発を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査および試行を通して、申請当初の教材・授業プログラム原案を再考する必要が生じた。2022年度は、作成中の教材・授業プログラムに導入検討した機器・製品を取り入れ大学生に試行しながら、児童対象の実践に向けて改良する。また、夏休みなどの長期休暇で児童対象の少人数ワークショップを実施し、児童の3D機器操作や3D造形に関して、どんな困難やつまずきがあるのか等の配慮事項を調査する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、学会大会がオンライン開催となり旅費を使用しなかった。また、タブレット端末が新機種になり申請時より値上げしたこと、3Dプリンタの故障・整備に費用が生じたことにより、未使用の旅費分から差し引き、1,732円の残金を翌年度分として請求した。翌年度は不足しているタブレット端末の購入およびワークショップ補助者への謝金(人件費)、学会発表時の旅費として助成金を使用する。
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