2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of the interrelation between emerging technoscience and contemporary art
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21K00245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福島 真人 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (10202285)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | STS / 科学技術社会学 / インフラストラクチャー / 現代アート / アート・ワールド / 芸術 / artistic research |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は特に科学技術というトピックを「リサーチ」一般に関する議論に拡大し、後者が芸術表現活動一般とどういう関係があるのかを、文献を中心に広く情報収集、分析を行った。1990年代以降現在に至るまで、特に欧米を中心として、このリサーチ/芸術関係をめぐる議論が関係者の間で沸騰している。この分野は10以上の異なる名称で呼ばれているが、artistic researchという名称がその代表例で、この名を関するジャーナルも創設されているほどである。 こうした新興分野は、まさに科学技術と芸術の相互作用という観点からは避けて通れない分析対象であるが、その背後には英国に端を発した、EU諸国内の高等教育における芸術教育の制度的標準化という大きな政策的流れがある。この高等教育をめぐる大きな行政的動向に応じた形で、芸術教育に対して、リサーチ、論文執筆、学位付与がどういう意味を持つかというのが、このartistic researchという議論の沸騰の背景にある。それがより一般的に、芸術的表現活動とリサーチ(そのモデルとしての科学技術研究)の関係を論じる形に発展したものである。 特にここ20年来、科学技術社会学(STS)の成果がそうした議論に応用される場合も少なくない。その背後にはSTSが科学と社会の関係を従来よりも、より相互にオープンな形で取り上げることが多くなってきたからでもある。特にドイツの研究者の間では、実験システムという考え方を芸術制作にも応用する議論が目立つが、こうした議論は、二つの領域の間の制度的な違いを無視して、微視的な議論に終始する傾向もあり、その議論の限界もについても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度もコロナの影響が強く残ったため、インタビュ等による情報収集はほとんどできなかったが、他方、科学技術と芸術の領域の関係を直接論じる、こうしたartistic researchという議論が欧州を中心として沸騰しているというのは大変興味深い点であり、その来歴についてかなり突っ込んだ文献調査を行えたのは大きな成果であった。 また本邦における同様の議論でも、その制度的、歴史的背景を十分に理解して議論しているものはあまり見受けられないという点も重要である。この新興領域の理解には、両領域にまたがる、高等教育の問題や、その制度的標準化による軋轢等が存在するが、こうした現象そのものが、本研究が基礎とする科学技術社会学(STS)が得意とする研究対象に近い。 こうした新興領域は、事前の研究計画ではあまり自覚していなかったポイントでもある。ここでの成果は現在執筆中の、実験にまつわる諸問題をあつかった著作においても重要な役割を示すことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は特定の作家、あるいは個別の芸術作品をある種のprobe、すなわちアート・ワールド全体の動態を観察するための一種の探索事例と考え、彼ら(あるいはそれ)が登場してから、どのような遍歴を経て現状にいたるか、という点を、彼ら(それ)にかかわる諸制度とのインターフェースという形で追跡するという作業をする予定である。 こういった対象の履歴は、明らかにその作者/作品の存在様態、つまり伝統的なそれか、あるいは新規テクノロジ利用か、保存可能かそれともパフォーマンスなのか、といった色々な形態があり、対応する制度側も、その対応についての得手不得手という側面がある。ここら辺の差異を重視しつつ、こうした複数の異なる主体がこれら業界をどう横断していくかを見ることで、科学技術化の影響がその航路にどう反映するのかを観察する。
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Causes of Carryover |
コロナによる移動制限等が続き、旅費にかかわる計画が十分に消化できなかったため文献調査に集中したため。来年度はインタビュ等を増やすことでバランスを回復する予定である。
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Research Products
(3 results)