2023 Fiscal Year Annual Research Report
Continual value recognition and study about preservation of the specific area material based on the industrial archaeology
Project/Area Number |
21K00251
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
市原 猛志 熊本学園大学, 商学部, 准教授 (00590564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 武弘 愛知大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (80591510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人造石工法 / からみ煉瓦 / 鉱滓煉瓦 / 実習報告書 / 試料 / 産業遺産 / 材料史学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、特定地域に集中して現存する長七たたき (人造石工法)、からみ煉瓦(鋳造式鉱滓煉瓦)及び鉱滓煉瓦(水硬式鉱滓煉瓦)の3資材について、その素材が経年し獲得した価値の認識、また維持活用手法と問題点を析出し、土地固有の景観資源と捉えた際における地域活性化に貢献しうる共通の評価指標について、分析する研究として始まった。それぞれの地域固有素材としての価値付けに関しては、からみ煉瓦における新潟県阿賀町・持倉鉱山の産業遺産学会推薦産業遺産への認定(2022年)、旧佐渡鉱山採鉱施設(国指定重要文化財)間ノ山上橋・下橋における合同調査に伴う試料サンプル採取による人造石工法使用の確認・確定(2023)など、研究成果を基にした実践的な評価の積み上げにおいて、概ね良好な成果を挙げられたと言える。 しかしながら、共通の評価指標の作成においては、それぞれの地域に置かれた事情以上に文化財に対しての関心度が影響することも大きな要因で、特に北九州地域においては文化財調査やその成果の評価の面において、行政が全国的に比較対象として打ち出せるような施策を行っていないことから、本研究においてはここをマイナスの成果と考えざるを得なくなった。改善策として、今後はより多種多様な地域固有素材について検証・比較し、特定地域における評価の低さに全体的な数値が変動することがないような方策を採ることが考えられる。本研究期間として歴史的な経緯については、東京帝国大学採鉱学科などの学生実習報告書を参考に、からみ煉瓦や鉱滓煉瓦に関する文献調査の進展が見られた。ここを機軸に、さらなる成果の発展をすすめ、材料史学としての歴史研究の発展と用語としての国内共通化を狙いたい。
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