2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胚のゲノム編集に関する法的ルール確立に向けた総合的研究
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21K00257
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
三重野 雄太郎 佛教大学, 社会学部, 准教授 (40734629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / ドイツ / 生命倫理 / 胚保護法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ゲノム編集をめぐるドイツの議論状況を調査した。ドイツにおいては、様々な議論がなされているが、とりわけ以下のような点については概ねコンセンサスが形成されているようである。 ①ヒト生殖系列は、絶対不可侵なものではない。②生殖系列への介入についての判断は、純粋なチャンス(見込み)・リスク衡量に限定されるべきではなく、以下の倫理的準則を考慮すべきである:人間の尊厳、生命保護。インテグリティの保護、自由、害の回避、慈善、自然性、正義、連帯、責任。③十分な安全性と有用性があることが、どのような場合であっても生殖系列への介入を許容する前提条件となる。④ヒトの生殖系列への介入の臨床応用について国際的なモラトリアムを求める。また、ドイツ連邦議会と連邦政府に、拘束力ある国際的協定の締結を目指すことを勧告する。⑤生殖系列への介入の影響について正確な視座を得ることを目的とした、試験管内胚を使用しない基礎研究が必要である。⑥ヒト生殖系列への介入に関するグローバルな学術的、倫理的規準を策定したり、ヒト生殖系列への介入に関わる多様な問題についての解決策を提言する国際機関が必要である。⑦生殖系列への介入について広範な国レベルや、国際的な議論を強く求める。 ドイツでは、着床前診断を一部許容したこともあって、近時では、規制緩和を求める声も上がっていることが分かる。とりわけ、単源発生の遺伝病の防止のためのゲノム編集は許容を求める声が多く、今後、法改正等がなされるのか、動向に引き続き注目する必要がある。
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