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2022 Fiscal Year Research-status Report

日本古代の大学の学問に関する基礎的研究─9、10世紀の大学寮紀伝道を中心に─

Research Project

Project/Area Number 21K00305
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

滝川 幸司  大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (80309525)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords和歌真名序 / 儒家 / 対句 / 出典
Outline of Annual Research Achievements

今年度は、論文を2本刊行した。2本とも、和歌真名序に関する注釈的研究の成果である。いずれも、紀伝道出身の儒者が執筆したと考えられていたが、詳細な読解を行うことにより、それを否定した。このことは逆説的に儒家の文章がどのようなものであるかを証明することになった。
「発心和歌集序試読─選子内親王作者説をめぐって─」(5月)は、選子内親王撰とされていた発心和歌集の序文を精読した。本集には赤染衛門作者説があり、それとともに序文は儒家大江匡衡の作とする説があった。しかし、詳細な読解をした結果、故事の使用法、語彙の疑問点などが存することを指摘した。語彙については、専門的な儒家が学んだというよりも、和文脈での知識が応用されている可能性があり、とても儒家の作とはいえないことを論じた。
「千穎集序をめぐって」(10月)は、漢詩文に精通した人物が書いたとされる「千穎集序」を精読し、対句構成や出典となる典籍を明らかにした。対句は当時の散文では重視され、儒家の文章でも特徴的だが、あまりに対句仕立てにしようとしたため無理な語法・語彙を用いてしまったところがある。また故事を利用することも儒家の散文では必須だが、その故事の出典が蒙求という幼学書に限られていることなど、儒家の手になるものとは考えられないことを論じた。
以上の2本は、儒家の文章とは判断できないものであることを論証した。それは儒家の文章の特徴を逆に明らかにしたことにもなる。また、このような儒家の文章以外の漢文についての位置づけも今後の平安朝漢文学史の構築のために必要であろう。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

紀伝道の学問を明確に示す文章以外ではあるものの、正反対の性格を持つ文章を読解することで、紀伝道出身者の文章の特徴を逆照射した。
大学寮に関する文章(大学寮の理念を語る詔勅など)の読解は進んでおり、次年度には公表する予定である。
また、詩序についても新た視点を獲得しており論文として公表する準備を行っている。
紀伝道出身者の官僚としての位置づけについては、次年度まとまった資料収集と分析を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

次年度も今年度から引き続き、紀伝道出身者の学問について研究を進める。詔勅、官符などの公文書や詩序などの文学的文章についてさらなる検討を行う予定である。
また同様に、紀伝道出身者の官僚世界での位置づけに関わる儒家の伝記研究を進める。なお、その中には、儒家だけではなく、紀伝道出身の歌人も加える予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 発心和歌集序試読─選子内親王作者説をめぐって─2022

    • Author(s)
      滝川幸司
    • Journal Title

      中古文学

      Volume: 109 Pages: 85-99

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 千穎集序をめぐって2022

    • Author(s)
      滝川 幸司
    • Journal Title

      詞林

      Volume: 72 Pages: 1~21

    • DOI

      10.18910/89245

    • Open Access

URL: 

Published: 2023-12-25  

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