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2023 Fiscal Year Annual Research Report

イギリス・ロマン主義文学における知識と社会改革の意義

Research Project

Project/Area Number 21K00344
Research InstitutionFukuoka University of Education

Principal Investigator

後藤 美映  福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20243850)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsイギリス・ロマン主義文学 / 知識 / 近代医科学
Outline of Annual Research Achievements

これまでの研究においては、イギリス・ロマン主義時代の「知識」の在り方と17世紀から19世紀初期にかけての近代医科学との関係、さらに18世紀新古典主義からヴィクトリア朝のラファエル前派までに形成された通時的な美学理念とロマン派の詩との関係を中心に考察し、詩と近代医科学、美学、哲学といった学際的な領域の融合から生み出されるロマン主義の知の包括的な体系を明らかにしてきた。したがって、最終年度は、この知の体系がどのように社会的改革の精神を内包していたかを考察するために、イリギス・ロマン主義の詩の言葉が果たしたと考えられる社会改革の試みを明らかにした。
具体的には、ダンテの『神曲』地獄篇の第五歌のフランチェスカとパオロの不義の物語が、ロマン主義時代に、リィ・ハント、ジョン・キーツ、ジョージ・バイロンらによって、宗教的倫理よりも愛の情熱を謳歌する物語として改作、翻訳され、詩における革新的言葉の探求が行われたことに着目した。そして、その詩の言葉に、宗教的教義よりも人間精神の自由を奉じる、詩人らの社会的改革の試みを見出した。例えば、ハントの改作は、キリスト教の教義を侵犯する愛という感情を自由に歌い上げる美学を唱え、政治的、美学的革新性を呈示している。あるいは、ダンテの叙事詩をソネットにおいて歌ったキーツは、キリスト教を無効化するための新しい詩の形式と比喩的言語によって、言葉による美学的、宗教的革新性を示したといえる。さらに、ダンテが用いたterza rimaを敢えて使用して逐語訳を試みたバイロンの詩は、詩人の自己という確固たる視点を備えた詩によって、詩人の自律的存在の意義を呈示している。
このように、イギリス・ロマン主義の詩の言葉は、正典と見なされた西洋文学を改作、翻訳し、人間性の自由や自律性を言葉によって表現するという社会的改革の試みを呈示したことを明らかにした。

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 『デカメロン』をいかに歌い、いかに描くか ─「イザベラ」をめぐるキーツとミレイの革新性2024

    • Author(s)
      後藤 美映
    • Journal Title

      イギリス・ロマン派研究

      Volume: 48 Pages: 19-35

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 愛を語るというタブー―Danteとロマン主義の詩における言葉を語ることの意義2024

    • Author(s)
      後藤 美映
    • Journal Title

      日本英文学会九州支部第76回大会Proceedings

      Volume: 76 Pages: 17-18

    • Open Access
  • [Presentation] 愛を語るというタブー―Danteとロマン主義の詩における言葉を語ることの意義2023

    • Author(s)
      後藤 美映
    • Organizer
      日本英文学会九州支部第76回大会シンポジウム「西洋文学における愛とタブー―イギリス・ロマン派とポストモダンを中心に」
    • Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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