2022 Fiscal Year Research-status Report
Quotation, Selection, Adaptation of Romantic Poetry: The Cultural Landscape of the English Lake District and the Popular Reception of Wordsworth
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21K00347
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
吉川 朗子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60316031)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 文学作品からの引用 / ワーズワスの受容 / 英国湖水地方 / 印刷文化 / 文化的景観 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、サブテーマ①「アンソロジーとしてのガイド」について、大英図書館やスコットランド国立図書館、ケンダル図書館などで資料調査を行った。サブテーマ②「Guide to the Lakesからの引用、借用、その影響の範囲」については、これまでの研究の成果の一部として、「静寂の価値」という観点からワーズワスの旅行案内書の影響範囲を考察した論考を、大学紀要に発表した。また、ワーズワスの案内書が他のガイドブックとの相互影響のなかで改訂を重ね、次第に観光産業に取り込まれていきつつも、読者層を広げることでその自然観を広く伝えていくことになり、湖水地方の文化的景観や持続可能な観光開発という価値観を作り上げていく様を、国際学会で発表(招待発表)し、さらに日本英文学会の機関誌Studies in English Literatureに発表した。 これまで準備を進めてきた編集書Wordsworth’s Guide to the Lakes (Oxford World’s Classics)の最後の仕上げを行い、12月にオックスフォード出版局から刊行した他、この書籍の準備の副産物として出てきた論考――『案内書』第3版(1822)の持つ意義について考察した研究発表を、3月の国際シンポジウムで行った(招待発表)。 国内では、イギリス・ロマン派学会において、ワーズワスの里山的自然観について庭のイメージを中心に検討した研究成果を口頭発表し、後にこれを同学会機関誌『イギリス・ロマン派研究』に発表した。 その他、ロマン主義的エコロジー、ピクチャレスクと旅行文化、交通革命と観光文化という当研究との近接分野についての3冊の書籍に関して、依頼をうけて書評を行った他、ワーズワスの案内書についての一般聴衆向けの講演も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、これまで準備を進めてきた編集書Wordsworth’s Guide to the Lakes をOxford World’s Classics シリーズから刊行した。またこれに伴い、2つの招待講演を英国で行った他、ワーズワス・トラスト主催のオンライン・プログラムで、オックスフォード大学名誉教授Stephen Gill氏ならびにワーズワス・トラスト主席学芸員Jeff Cowton氏との鼎談を行った。自分の研究成果を広く一般聴衆・読者に伝える機会を持てたことには大きな意義があると考える。 この国際会議2件に加え、国内でも1件、学会に対面で出席し、活発な意見交換を行えた点で、今年度の研究活動は大いに活性化されたと思う。他方、zoomと対面を併用した研究会1件においても発表を行い、より広範な視聴者に研究成果を伝えることができた。 今年度はまた、国際学術誌、国内学術誌、一般書評誌から3件の依頼書評があった。それぞれ読者層が異なる媒体に書評を掲載することを通して、自分の研究成果の還元を様々なレベルで行うことができたことは、意義あることと思われる。 編集書籍1冊、学術論文4本、学会発表3本ならびに一般向けの講演1件、書評3件という充実した成果を上げることができたため、(2)「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、夏に国際学会参加のために渡英し、その機会に大英図書館やスコットランド国立図書館等で資料収集を行う予定である。 19世紀後半~20世紀初頭には、多数のアンソロジーやバースデーブック(詩の引用を含んだカレンダー)が刊行された。これらに引用されているワーズワスの詩行の内容の変遷についてリサーチを進め、ワーズワス受容の変化について考察をすすめたい。とりわけ、ワーズワスの代表作が『逍遥』から『序曲』へ変わったのはいつ、どのような経緯であったのかを、突き止めたい。また、挿絵入りの詩集についても調査を行い、ワーズワス受容の変遷を、大衆文化という観点からさらに探っていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は2年ぶりに国際学会への参加ができたが、前年度からの繰越金をまず用いて海外渡航したため、今年度分については、余剰金が出た。現在燃料費の高騰で海外渡航費用が上がっているが、次年度に繰り越した分を渡航費不足分にあてることで、来援度もまた、国際学会への参加および資料調査を可能にできると考えている。
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