2023 Fiscal Year Research-status Report
19世紀アメリカ作家に及ぼすタイプライターの波及効果に関する多面的研究
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21K00353
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
中村 善雄 京都女子大学, 文学部, 准教授 (00361931)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | タイプライター / メディア考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はタイプライターを初めとする、19世紀に誕生あるいは流行したメディア・テクノロジーが齎す技術的進歩と文学作品との親和性を、T・H・ハクスリーとマシュー・アーノルドとの文学と科学との対立論争やサーカル事件も視野に入れながら検討し、その成果である図書刊行のための準備を進めていった。またエルキ・フータモが提唱するメディア考古学の視点から、キャロリン・マーヴィンの言う「古いメディア」であるタイプライターなどの19世紀のメディアと現代のメディア状況との往還性について検討した。特にタイプライターに関しては、このメディアが齎した作家の書く行為への影響や作家の文体や使用する語彙の変容を今日のAI技術による文章の自動生成を踏まえて考察を深めた。他には、ヘンリー・ジェイムズの生涯と作品に焦点を当てた『アメリカ文学史』の項目執筆や、『詩と言葉―詩的想像力のアメリカ』(仮)(小鳥遊書房)に所収予定のヘンリー・ジェイムズ作品にみる時間と空間に相対化に関する試論を執筆した。口頭による発表としては、6月に中・四国アメリカ文学会大会にて「時間と空間の旅人―Henry James における「家」とモビリティ」と題したシンポジウムでの発表、7月には第9回ヘンリー・ジェイムズ国際学会にて"Henry James and Fourth-Dimensional Thinking"と題した発表、10月には日本アメリカ文学会第62回全国大会にて「Henry James における「家」-mobilityからtopologyへ」と銘打ったシンポジウムにおいて、成果発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度にアメリカ作家の創作スタイル、文体・文章やテーマに及ぼしたタイプライターの影響と、私的領域における作家と口述筆記者との関係性を含む単著刊行を目標としていたが、予定通り進まなかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで主たる対象としていたヘンリー・ジェイムズだけでなく他の作家も視野に入れながら、タイプライターを含む、19世紀の(メディア・)テクノロジーと文学作品との親和性に焦点を当てた図書刊行を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度の夏季あるいは春季休暇に予定していたボストンでの研究調査が、学会関係の用務や他の原稿執筆のために十分な時間を確保することができず実施されなかったために、予定の予算執行ができなかったのが主たる原因である。
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Research Products
(5 results)