2022 Fiscal Year Research-status Report
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21K00371
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
張替 涼子 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 准教授 (70778175)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | John Hardyng / chronicle / readership / marginalia / kingship |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象であるジョン・ハーディングの『年代記』の現存する写本及び印刷本に残された書き込みの調査を始めた。具体的には、英国の大英図書館に所蔵されている全ての写本と印刷本(MSS Lansdowne 204, Egerton 1992, Harley 661, shelfmark G. 5937, 195.a.3, G.5938, 673.e.1, 673.3.2)および、ボードリアン図書館に所蔵されている全ての写本と印刷本(MSS Arch. Selden B.10, Ashmole 34, Douce 345, Douce 378, shelfmark Lawn e. 344, Mal. 621, Douce HH 283, Shm 716)を調査した。15世紀及び16世紀の読者による書き込みが多く見つかり、今後、それぞれの書き込みの分析を行っていく。例えば、MS Egerton 1992に見られるArthur王に関する記述に懐疑的な読者はイングランドではなくスコットランド出身だと予想されるが、その読者が女性(女王)に関する記述に興味を示していくことは特に注目に値する。スコットランドではイングランドよりも女性を通して王位が継承されることが認められ、強調されていたためである。またMS Douce 345の読者は明らかに国王の廃位に関心があり、そのような読者が『年代記』をどのような目的でどのように読んでいたのかを分析することには意味があるだろう。このような特徴的な書き込みに注目すると同時に多くの読者に共通する書き込み(国王の系譜への関心など)や読み方についても考察していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現存する写本と印刷本の調査がうまく進んでいない。英国への一度の出張ではBLとBodleianに所蔵されているコピーしか調査ができなかったため、今後は英国にある他のコピーとアメリカにあるコピーの調査を早急に進める必要がある。当初は写真の取り寄せを考えていたが、そして写真の取り寄せも行う予定ではあるが、やはり現物の調査を通してしかわからないことも多いため、できる限り現物の調査を行いたいと思っている。
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Strategy for Future Research Activity |
英国とアメリカで調査を行い、同時にデータの取り寄せも行うことで、全ての現存する写本及び印刷本の書き込みに関する一通りのデータを揃える。その上で、それぞれの書き込みの調査を進める。
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Causes of Carryover |
画像データをPCに入力するための機器などの購入が遅くなり、申請できなかったことが次年度使用額が生じた理由である。次年度にデータの整理等で必要な機器を揃えることから、これを使用する予定である。
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Research Products
(2 results)