2021 Fiscal Year Research-status Report
Print Culture and Activism in American Women Literature After World War II
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21K00372
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平塚 博子 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80407379)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / ジェンダー / アメリカ史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次世界大戦以降のアメリカの女性文学をプリントカルチャーとアクティビズムという観点から分析する。戦後から冷戦終結によってアメリカを含めた世界情勢が劇的に変化すると同時に、メディアの在り方の転換点でもある1980年代に焦点をあて、モダニズム研究やジェンダー史研究など既存の先行研究とは異なる形で、戦後のアメリカ女性文学とプリントカルチャーおよびアクティビズムの関係を網羅する。そして人種横断的に考察することでこの時代の女性文学とプリントカルチャーを多角的かつ包括的に検証し直し、アメリカ文学史およびメディア史の中に再配置することが本研究の目的である。その上で戦後の女性作家と、メディアを多角的かつ戦略的に活用し創作を続ける現代のアメリカ女性作家との接点を探ることを目的とする。 令和3年度については,冷戦初期に活躍した作家に焦点をあてて研究を進めた。まず、令和3年5月に,サウンディングズ英語英米文学会第 73回研究発表会で開催されたシンポジウム「英米文学とスポーツ」(司 会・ 講師 :杉野健太郎(信州大学)講師:中村美帆子 (明治大学)、下楠昌哉 (同志社大学)、 平塚博子(日本大学))において,戦後のアメリカ文学とプリントメディア(スポーツ雑誌)との関係の一端について明らかにした。 さらに令和3年12月にはアメリカ大衆雑誌における女性警察官の表象を分析することで,アメリカのプリントメディアにおける人種,ジェンダー,階級について分析した。 また、現在,2022年出版予定の共著に向けて,アフリカ系アメリカ人女性作家ゾラ・ニール・ハース トンの代表作に関す る論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は当初、戦後の白人女性作家とプリントカルチャーの関係に関する調査・研究を進める予定であった。しかし、令和3年度はコロナ禍で海外での資料収集が難しいだけでなく、国内の図書館での資料収集もスムーズに進めることができず、予定していた白人女性作家とプリントカルチャーの関係についての分析を深く掘り下げるまでに至らなかった。 海外渡航や、国内の図書館での入館制限等も改善に向かっていること、令和4年度に行う予定であったアフリカ系の女性作家についての研究を令和3年度に前倒しして行っていることなどから、研究の遅れは今後取り返せるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度に取り組む予定であったものの、研究があまり進められなかった戦後の白人女性作家とプリントカルチャーの関係に関する調査・研究を進める。すでに資料の収集や検証を始めているLillian Smithらの冷戦初期に活躍した白人女性作家の調査を継続して行う。白人女性作家たちが出版や編集に関わった新聞や雑誌および本等の活字メディアと文学作品の関係についての資料収集と調査・分析を進める。そして、研究の成果を関連学会での研究発表および学会誌の論文投稿という形で発表する。 令和4年度―戦後のアフリカ系女性作家とプリントカルチャーの関係に関する調査・研究 それと並行して、冷戦初期およびブラックアーツムーブメントで活躍したアフリカ系女性作家とプリントカルチャーに関する調査を行う。これらの作家が関係した新聞や雑誌については、国内での一次資料の入手が難しいため、海外渡航の状況が整い次第、米国のニューヨーク公立図書館分館のショーンバーグ黒人文化センターで、複写等の方法で資料収集を行い、それを分析する。そして、研究の成果を関連学会での研究発表し、学会誌に論文を投稿したい。 令和5年度以降は、Alice WalkerやToni Morrisonらのポストブラックアーツムーブメントのアフリカ系女性作家とプリントカルチャーに関する資料収集と調査・分析、さらにカリブ系他アメリカ女性作家とプリントカルチャーに関する調査と分析を進めていく。 その上で、分析結果を総合して、戦後の女性文学とプリントカルチャーおよびアクティビズムの関係に関する全体的像について考察する。そのうえで公開シンポジウムを開催するかまたは国際学会でのパネルセッションに参加し、研究の評価を仰ぐ予定である。
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Causes of Carryover |
令和3年度はコロナ禍で、海外での資料収集や調査が難しかっただけでなく、国内出張して資料収集や調査にあたることが難しかった。そのため、その使途を予定していた予算の執行ができなかった。令和4年度は、状況が徐々に改善しているため、令和3年度にできなかった資料収集や調査を合わせて行っていく。
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