2021 Fiscal Year Research-status Report
中世初期英語散文Ancrene Wisse におけるアンセルムスの影響の研究
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21K00378
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
井野崎 千代子 京都先端科学大学, 教育開発センター, 嘱託講師 (20213192)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Ancrene Wisse / アンセルム / 初期中世英文学 / 托鉢修道会 |
Outline of Annual Research Achievements |
京都先端科学大学で期限付専任嘱託講師を務めながら、広島大学博士後期課程に所属し、指導教授の指導を仰ぎながら博士論文を執筆した。博士論文の内容に基づく複数の学会発表に加え、博士論文が英文で400頁を超え、ネイティブチェック、全体構成の微調整の繰り返し、口頭試問の準備に想像以上の労力が必要となり、昨年度は、博士論文完成が主な研究実績となった。もとより本博士論文が本研究の基盤となるため、まずは一歩を踏み出せた。 昨年度の研究実績:1) 論文発表 'The Expository Apposition Marker "[th]et is" and Punctuation in the Corpus MS of "Ancrene Wisse"' (Neuphilologische Mitteilungen), 2) 論文発表 'Expressions for "Conscience" in the Ancrene Wisse Group' (ERA), 3) 博士論文 ' Emerging "Conscience":Its Circumstances in "Ancrene Wisse" (広島大学)4) 口頭発表 「Expressions for "Conscience" in the Ancrene Wisse Group」(広島英語研究会)、5) 口頭発表 「"Ancrene Wisse" Corpus 写本とCleopatra 写本における"conscience" と "inwit" の現れ方を比較して(pre)」(広島英語研究会)、6) 口頭発表 「口頭発表 「"Ancrene Wisse" Corpus 写本とCleopatra 写本における"conscience" と "inwit" の現れ方を比較して」(日本中世英語英文学会西支部第37回例会)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
博士論文完成が想像以上に大変な作業であったため、科研費申請時に計画していた、博士論文完成後の次のステップに予定通り進むことが困難であった。秋口までに全て博士論文に関する作業を終え、秋からは予定していたアンセルムの作品の精読に取り掛かるつもりであったが、実際は博士論文の見直しや複数の学会発表、また2月の口頭諮問の準備など、それぞれ想像以上の労力が必要であった。口頭諮問終了後も、大学の学術デポジトリや所属していた広島大学博士後期課程在学者としての様々な手続きがあり、それらを最後まで執行することが大変重要であり優先された。 そんな中、博士論文を完成することができ、初めの一歩が出来上がったことに安堵を覚え、次のステップのために必要な書物を少しずつ購入し、読み始め、アンセルムについて少しずつ理解を積み重ねていることに喜びを感じている。博士論文のネイティブチェックのための費用や、次のステップに必要な書物の購入は、執行されている科研費から賄われており、大変感謝している。
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Strategy for Future Research Activity |
完成した博士論文を基盤とし、以下に述べるように、Ancrene Wisse におけるconscience状況を再度まとめ、アンセルムの作品精読に取り掛かる。1) Ancrene Wisse におけるconscienceに関わる表現を、アンセルムのconscienceとの比較を前提に、その全体像をまとめる。2) アンセルムのMeditatione3編におけるconscienceに関わる表現が見られる叙述を調査する。すでに2編において調査したが、3編全てを調査し終えた段階で、再度見直して調査の精度を上げる。3) アンセルムのEpistolarumにおけるconscience表現を調査する。4) Ancrene Wisseの著者とされるドミニコ会士とアンセルムの関係についての理解を深めるため、初期中世修道士の説教活動関連の書物を中心に、背景理解を深めていく。5) 12月に予定されている日本中世英語英文学会全国大会での学会発表に向けて準備する。以上が今年度の現実的目標と思われる。 Ancrene Wisse のCorpus版(2005-2006)は今までコピーを使っていたが、本科研費によって、新たに購入できた。アンセルムのEpistolarumも本科研費によって入手でき、大変感謝している。
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Causes of Carryover |
主に東京で開催される研究会に出席を考えていたが、コロナ禍によりオンライン開催となり、出費が減額となったため。本年度は、博士論文も昨年度書き終えることができたため、次の段階の調査のための書籍の獲得や研究会出席のために使用させていただきたい。
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