2023 Fiscal Year Research-status Report
中世初期英語散文Ancrene Wisse におけるアンセルムスの影響の研究
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21K00378
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
井野崎 千代子 京都先端科学大学, 全学共通教育機構, 嘱託講師 (20213192)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Anselm / conscience / 聖人伝 / Ancrene Wisse / 11世紀英国 / 12世紀英国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年4月から2024年3月までは、アンセルムの作品を読み進めることに注力した。彼の手紙3巻を読み、conscienceについて調査を行った。また、エドマーというアンセルムの弟子のような修道僧が Vita S. Anselmi というアンセルムの伝記を書いていることを知り、その中に表されているconscienceについて調査した。これによって、アンセルムの「聖人性」に注目し、彼のconscienceについて考察する上で重要と考え、エドマーによる他の「聖人伝」を3冊読み進めた。その結果、それまでアンセルムの「聖人性」が研究対象として扱われてこなかったことについて提議するため、2024年5月に米国ミシガン州ウェスタン・ミシガン大学における第59回 International Congress on Medieval Studies へ発表応募し、10月受諾を得た。また、アンセルムのmeditationeにおける祈りの対象の多様性について、2024年7月英国リーズ大学における International Medieval Congress へ発表応募し、11月受諾された。これら二つの海外発表の原稿をまとめる準備をした。広島大学英語研究会の月例会や、日本英語英文学会全国大会、日本英語英文学会西支部例会で、他の研究者の発表を拝聴しながら勉強させていただいている。
また、科研費のおかげで、2023年7月3日から6日まで開催された英国リーズ大学における International Medieval Congressに初めてオブザーブ参加することができた。全日程の発表をできるだけ見聞させていただけたことによって、海外における学会発表の方法など学ぶことができ、2024年の米国、英国、両地における学会発表のため大変参考になった。この学会参加は広島大学英語研究会10月例会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目2年目のパンデミックの影響で、多くの学会が中止となり、学会発表や学会参加ができなかったため、なかなか自分の研究状況を客観的に見ることが難しかった。しかしながら、科研費のおかげで購入できた著書をじっくり読むことができ、新たな視点を得ることができた。研究計画を提出した時には全く考えていなかった点に気づくことができ、改めて進む方向を調整しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年は作品を読むことに時間を費やすことができた。2024年は5月に米国ミシガン州ウェスタン・ミシガン大学における International Congress on Medieval Studiesと、7月に英国リーズ大学における International Medieval Congress と、 二つの海外発表が予定されているので、その準備をするのがまずは大きな課題である。それらの学会発表後、研究者の方々の意見を頂きながら、それらの発表を論文にまとめていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究や教育業務のため、予定していた学会に参加することができなかったため、次年度使用額が生じた。2024年には海外発表が二つ予定され、国内での学会も、日本中世英語英文学会西支部委員、日本中世英語英文学会編集委員を務めているため、学会出席が予定されているので、支出が見込まれる。また、論文にまとめていきたく思っているので、その準備に使用させていただくつもりである。
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