2021 Fiscal Year Research-status Report
チカネックス文学とアジア系アメリカ文学における女性のアイデンティティ
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21K00383
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
楠元 実子 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系人文グループ, 教授 (60353348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / エスニックマイノリティ / アイデンティティ / 女性文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では女性としての生き方、自分は誰なのかという異なるエスニックグループにも共通した問いについて、また民族的なバックグラウンドに対して自分の立ち位置の相違点についてなど、横断的な現代エスニック・アメリカ女性文学のアイデンティティ文学研究を行う。女性のアイデンティティに焦点を当て、また項目毎に作品を横断した視点で比較対象を行うことで、変化が進行中のアメリカンアイデンティティを明らかにするものである。また副次的に現代のアメリカを伝えるエスニック女性文学アンソロジー教科書の映像教材作成を行い、文学紹介、文化紹介、女子学生へのエンパワーメント、男子学生へのエンライトメントなども目指す。 令和3年度は研究実施計画書での計画通り、メキシコ系アメリカ人の文学研究を中心に行った。サンドラ・シスネロスらの女性のアイデンティティ表象や家のイメージ、コミュニティのとらえ方等に関して作品分析を行い、この時点までの究成果について論文と口頭発表で発表を行った。サンドラシスネロスの作品について、H29-R1の科研費(17K02581)によってテキサス大学で収集した資料と現地調査後に継続して行っていた作品分析を加えた成果をまとめ、Have You Seen Marie?における彼女の家やコミュニティと自己の関わりについて論文発表を行うことができた。また視点を広く彼女の人生に発展させた形でシスネロスのアイデンティティティについて、自分をどのコミュニティに位置付けてきたかの変遷をまとめ、口頭発表を行った。 映像クリップ作成は、未だコロナ禍で具体的な予定が立てにくいものの、今年度は構成の流れを決め、機材更新、必要ソフト等の選定や使用習熟に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前回の科研費(H29-R1の17K02581)で得た資料を使用して研究を継続・発展させて論文発表と口頭発表という研究成果を得ることができた。今年度はコロナ禍のため渡米して現地調査はできないとわかっていたので、予定通り、国内でできる研究対象作品のリストアップや読み込みの作業を行った。また、教材作成のフレームを定め、機材を更新し、ソフトの使用などに習熟することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き国内で文学作品研究を行うが、今年度は主にアジア系アメリカ人の文学研究を行う。シンシア・カドハタ、エイミー・タン等の作品分析を行い、この時点までの文学研究成果をまとめ、新たな資料から対象作品を比較分析の観点でまとめ直す。また、国内でできる教材作成としてオンラインエクササイズのプロトタイプを作る。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍で出張費を使う機会がなかったため、物品費を中心に支出を行った。5万円ほどが端数として消化できずに繰越となったが、R4年度分に合わせて使用する予定である。
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