2022 Fiscal Year Research-status Report
チカネックス文学とアジア系アメリカ文学における女性のアイデンティティ
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21K00383
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Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
楠元 実子 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系人文グループ, 教授 (60353348)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / エスニックマイノリティ / アイデンティティ / 女性文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では女性としての生き方、自分は誰なのか問い異なるエスニックグループにも通じる問いについて、また、民族的なバックグランドに対しての自分の立ち位置の相違点について、横断的な現代エスニック・アメリカ文学のアイデンティティ文学研究を行う。女性のアイデンティティに焦点を当てて、また、項目毎の作品を横断した比較対象を行うことで、変化が進行中のアメリカンアイデンティティを明らかにする。また、副次的に現代のアメリカ女性文学アンソロジーの教科書作成を行うものである。 令和4年度は研究実施計画書の計画通り、アジア系アメリカ人の文学研究を中心に研究を行った。両親が熊本県砥用町の出身であるHisaye Yamamotoの複数の短編小説とEmiko Omoriの映像作品の比較・分析を行い、研究発表を行った。従来の「1世と2世の衝突」ではなく、逆に娘から母親や家族へ寄り添おうとしている点、母親の願いや創造性を継承している点など、特に「母と娘の繋がりの深さ」にスポットライトを当てた読みを行い、主人公の娘の2世アイデンティティをについても分析を加えた。熊本の風景描写や熊本からアメリカへの移民への言及など、熊本とのつながりや影響が作品にも表れている部分があり、新たな調査視点を得ることができた。 映像付き教材については、大まかな構成を決め、次年度の渡米に備えることになった。また、モニタを大型で詳細な確認ができるものに更新して、編集作業環境を向上させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度研究を進めた日系アメリカ人のHisaye Yamamotoの文学作品と映画化された作品について研究発表を行うことができた。また、予定通り国内でアジア系文学の作品のピックアップ、読み込みと比較の作業を行った。しかし、勤務校の校務が重なり、また司会や会報などの学会の仕事が立て込み、研究をまとめる時期が遅れ、論文発表ができなかった。また、高騰している渡航費に対応した予算を残しておくため、今年度は教材作成の機材の更新があまりできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度前半は引き続き国内でアジア系アメリカ人の文学研究を論文にまとめる。また、夏期休業中にアメリカ合衆国に渡航して、アジア系とメキシコ系の文学の現地の文献調査と撮影を行う。今年度後半はチカネックス文学(メキシコ系)を中心に、新たな資料から対象作品を比較分析の観点でまとめ直す。
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Causes of Carryover |
年度の途中に渡航費が高騰していることを知り、そのために今年度の支出を抑え、次年度の渡航業務を完了してから物品購入をするという計画にシフトしたため。繰越した分はR5に合わせて使用する予定である。
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