2022 Fiscal Year Research-status Report
ブランウェル・ブロンテと19世紀イギリスにおける海賊の表象
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21K00407
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
古野 百合 鈴鹿工業高等専門学校, 教養教育科, 准教授 (50826344)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブランウェル・ブロンテ作品研究 / ブラックウッズ・エディンバラ・マガジン / ジェイムズ・マックイーン / 英国植民地主義 / 海賊表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年は、7月にニューサウスウェールズ大学(シドニー)で行われた国際初期作品学会においてオンラインにて研究発表("My love of geographical and topographical knowledge continues so strong": What Branwell Bronte's map and saga tell us of his distrust and trust in James MacQueen's map and his article)を行い、ブロンテ初期作品の研究者から貴重なコメントをもらった。ブランウェルの地理的好奇心、とりわけアフリカのニジェール川流路に関する高い関心を明かにし、作品の中でどのように表出されているかを分析した。この発表に基づいた論文を同学会のジャーナルに投稿し、残念ながら結果は不採用であったが、今後も修正して再投稿していく予定である。
12月には論文『没後200年―マリア・ブロンテに思いを馳せる』(ブロンテ・スタディーズ)に投稿し、ブロンテ姉弟妹の母親に関する伝記的側面について考察した。2023年2月にはシャーロットの初期作品に関する論考、『シャーロット・ブロンテの小説における兄弟間の確執のモチーフー育児放棄された子どもへの強い関心』(神戸英米論叢)を発表し、ブランウェルがシャーロットに与えた文学的影響についても考察した。3月には共著『言葉を紡ぐ』(音羽書房鶴見書店)を出版し、『母マリアとペンザンスの残影―ブランウェル・ブロンテの「海賊」』と題して論考を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公務が多忙であったことに加え、一昨年行った研究発表の成果を論文として執筆するために時間を費やす必要があった。成果の一つである共著出版の校正作業、また海外ジャーナルへの英語による投稿論文の作成にも時間を要し、新しい研究を行う時間が確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年9月には、英国ブロンテ協会開催の年次大会に現地参加し、リーズ大学図書館に新しく所蔵された初期作品原稿の閲覧、その他ブロンテ博物館や英国図書館において初期作品に関する文献調査、及び研究者との意見交換を行う予定である。今年度は、ブランウェル初期作品(特に「アングリアとアングリアの人々」の分析を推し進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に必要なデータベースを入手できたため、計画当初予定していたオンラインデータベースの契約を行わなかった。
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