2021 Fiscal Year Research-status Report
Pascal and Montaigne - Anthropology of "Pensees" and its origin
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21K00416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山上 浩嗣 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40313176)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | パスカル / モンテーニュ / 『パンセ』 / 『エセー』 / 政治思想 / 草稿 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主たる課題は、1)パスカルの人間学を、『パンセ』の草稿資料も用いて、彼自身のテクストに即して総合的に考究すること、2)パスカルの人間学の「起源」の局面を、とりわけモンテーニュからの影響を通じて検討すること、である。2021年度は、1)に関連して、『パンセ』の独自訳を継続して進め、全体の約3分の2程度まで終えた。2)に関連して、モンテーニュとパスカルの政治思想の比較研究を継続して進めたが、発表するには至らなかった。他方、モンテーニュ『エセー』に関する入門書『モンテーニュ入門講義』(ちくま学芸文庫、447頁)を執筆、刊行した。コロナ下で取り組んだオンライン講義のための原稿に加筆したものである。この機に『エセー』を再度精読し、引用の訳文をすべて自分で作成し、多数の関連研究文献に当たった。入門書だが、充実した著作になったと考えている。今後の自身の研究の方向性や課題もさらに具体的に認識することができた。なお、予定していたフランス出張は、新型コロナウイルスの感染拡大により延期した。 ほかに、『フランス文学の楽しみかた』(ミネルヴァ書房)という共著書で、パスカル、ラシーヌ、ペローおよび「神の探求」の項目を執筆し、「モンテーニュのパイデイア 旅と書物による人間形成」と題するポスター発表を1回行った(第6回大阪大学豊中地区研究交流会)。また、同じく「モンテーニュのパイデイア 旅と書物による人間形成」題する講演を行い(2021年度 ラスタ教養大学 言葉文化コース)、京都大学人文科学研究所主催の『GRIHL II』刊行記念シンポジウム「文学に働く力、文学が発する力 権威・検閲・文学場」にてコメンテーターを務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の具体的な課題は、主として次の2点である。1)パスカル人間学の文献学的研究および『パンセ』新訳。2)モンテーニュからパスカルへの影響関係の研究。1)についてはおおむね順調に進展している。2)については、この課題に関する直接的な成果は公表・公刊まで至らなかったが、その前段階としてモンテーニュの『エセー』の精読を進めるうち、その成果が文章としてまとまった分量に達したので、急遽これを一書として刊行することとした。幸い出版社が合意してくれ、計画が実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も上記の二つの方向性に即して研究を推進していく。1)については、あと2年間で訳文を一通り仕上げ、再検証し、解説文などを執筆することで、拙訳『パンセ』をできるだけ近いうちに公刊したい。2)については、2022年度中に2つの論文を論文を学術研究誌に発表する予定である。また、2022年6月にはパリ第三大学でのパスカルとポール=ロワイヤルをめぐるシンポジウムにて発表予定である。さらに、2023年はパスカル生誕400周年にあたり、3月にクレルモンフェランで開催される記念シンポジウム、と9月に東京で開催される記念シンポジウムに登壇予定である。加えて、私の主宰する「フランス近世の<知脈>」研究会などでも口頭発表を予定している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していたフランス出張を取りやめ、また、国内の学会もすべてオンライン開催となったため、国内出張費用も使用しなかった。2022年度は、フランスでの学会に2回参加し、国内出張も複数回行う予定である。
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Research Products
(9 results)