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2022 Fiscal Year Research-status Report

アウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルにおける言語感性論の展開

Research Project

Project/Area Number 21K00417
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

武田 利勝  九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (80367002)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywordsドイツ・ロマン主義 / アラベスク / アナモルフォーシス
Outline of Annual Research Achievements

2022年度は、前年度に明らかになったアウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルの言語感性論における詩学的特性を、弟フリードリヒが同時代に展開したパラドックスの美学と結びつけつつ、研究を進めた。
4月に九州大学独文学会で行った研究発表では、フリードリヒ・シュレーゲルの小説『ルツィンデ』が、アウグスト・ヴィルヘルムの言語論と同様、フィヒテ的観念論とスピノザ的実在論という二極が愛を通じて結びつく瞬間を表現したものであることを明らかにした。
また、10月に参加した日本独文学会シンポジウムでは、上記のパラドックス的関係が、ロマン派美学においては、文学テクストの絵画的表象を通じ、一種のアナモルフォーシス(二重絵画)として現れることを明らかにした。アナモルフォーシスの概念がドイツ・ロマン派の美学研究に導入されたのはおそらく初めてのことであるが、これによって、従来よく指摘されてきたロマン派芸術のアラベスク的傾向と、それに対する古典主義的・一点透視図法的性質とのパラドクシカルな併存関係が説明可能となった。
同月に社会思想史学会で行ったセッションでは、アナモルフォーシスによって導入されるアラベスクの美学がいかにして近代社会批判に結びつくか、そしてそれが来たるべき社会の理念たり得るかを、フリードリヒ・シュレーゲルの共和制論をもとに考察し、他の提題者、また参加者と活発な議論を展開した。
以上の成果は、2023年度中に論文としてまとめる予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2022年度中の研究の主軸はアウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルからやや離れ、フリードリヒ・シュレーゲルに移ってしまったこともあり、進捗状況としてはやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の最終年度である2023年度には、『アテネーウム断章』をはじめ、シュレーゲル兄弟の共同作業の研究を通じ、彼らの言語理論に見られる共通点及び相違点を洗い出しながら、それぞれの独自性を検討していきたい。

Causes of Carryover

2022年度秋季に北海道大学で開催される予定だった日本独文学会が、コロナ禍に鑑みオンライン開催となり、学会出張費に残余が生じたため。
2023年度にはほぼすべての国内学会において対面開催が予定されているため、前年度中に生じた「次年度使用額」を用いて積極的に出席し、研究成果を発表する予定。
また国外旅費として、ドイツのフランクフルト・マイン市に新たに開館されたロマン派博物館にも足を運び、アウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルの手稿の調査等も行う予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] 【書評】小田部胤久『美学』(東京大学出版会、2020 年)2022

    • Author(s)
      武田利勝
    • Journal Title

      シェリング年報

      Volume: 30 Pages: 110-113

    • DOI

      10.32297/schellingjahrbuch.30.0_110

  • [Presentation] ラムドーアとフィヒテのあいだ――『ルツィンデ』におけるシュレーゲルの〈レフレクシオーン〉2022

    • Author(s)
      武田利勝
    • Organizer
      九州大学独文学会
  • [Presentation] ロマン派の約束2022

    • Author(s)
      武田利勝
    • Organizer
      第3回「第三の国」科研研究会
  • [Presentation] 社会思想史学会2022

    • Author(s)
      武田利勝
    • Organizer
      ドイツ・ロマン主義の起点と思想構造そして現代的意味
  • [Presentation] 「聖なるもの」に向けて―フリードリヒ・シュレーゲル『ルツィンデ』と絵画的伝統2022

    • Author(s)
      武田利勝
    • Organizer
      日本独文学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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