2023 Fiscal Year Annual Research Report
アウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルにおける言語感性論の展開
Project/Area Number |
21K00417
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武田 利勝 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80367002)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 言語感性論 / 書簡文体論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年4月には早稲田ドイツ語ドイツ文学会において「ラムドーアとフィヒテのあいだ――Fr.シュレーゲル『ルツィンデ』におけるレフレクシオーン」と題して研究発表を行い、初期ロマン派の詩学的構想が、観念論と身体論の中間に自らを定位しつつ展開されていることを論じた。この研究内容については、目下論文として執筆を進めている。 また7月には日本シェリング協会シンポジウム「日本語からの哲学」において、「親密さのコードと手紙の文体」と題し、18世紀後半の言語哲学を考えるうえで欠かせない、書簡の文体論をとりあげた。特に注目したのはカール・フィリップ・モーリッツによる『書簡文例集』であるが、彼の書簡論は、書簡の文体の奥底にある、言語化されえぬ「暗い感情」を問題としている点できわめて異端的であり、ここにおいて、アウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルを始めとするロマン派の言語感性論と通底している。本研究内容は、2024年7月発行の『シェリング年報』に掲載されることとなっている。 8月から9月にかけて、ベルリン州立図書館、およびワイマール「ゲーテ・シラー文書館」等で文献調査にあたり、主にフリードリヒ・シュレーゲルの遺稿断章集の手稿を調査した。本調査を通じて、シュレーゲルが小説『ルツィンデ』を発表後も、なお本作の全面的書き換えを検討していたことが明らかとなった。その書き換えの目的と意義については、なおも調査中であるが、その構想全体がアウグスト・ヴィルヘルム・シュレーゲルとの思想的交流を通じて育まれた韻律的思考と不可分であることから、この研究は、本研究課題の本来の意図に沿ったものであると言える。
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Research Products
(3 results)